さまざまな目的があり勉強を強いられている人も少なくないでしょう。
とくに受験を控えている人は、時間が許される限り勉強時間に充てたいと考えるはずです。
しかし、机に向かって勉強し始めても、ある程度のところで集中力が切れてしまうのが現実ではないでしょうか。
すると、自分はメンタルが弱いのではと思いがちです。
そこで、メンタルケアのために筋トレがおすすめだと聞かされると、きっと疑問を覚えるかもしれません。
筋トレこそ、メンタルケアに効果が期待でき、脳内ホルモンの分泌を活発化することが、科学的に証明されているのです。
勉強をしつつ、隙間の時間に筋トレも併せておこなってみることで、さらに効果が高まるとされています。
受験勉強や資格のための勉強のように、目的がありその後の人生の岐路に立たされる理由があれば、それなりに勉強を開始するものですが、本来、勉強は長続きしないのが当然です。
いくら勉強が必要だとわかっていても、実践し始めると、つい他の誘惑に負けてしまいます。
筋トレと勉強との関係性より以前に、勉強をなるべく続けられるような方法はないのでしょうか。
まずは、勉強が長続きしない理由を考えてみましょう。
理由は色々ありますが、代表的なものを3つ取り上げました。
● 具体的な目標を持っていない
● さまざまな誘惑がある
● 疲れや睡魔に襲われる
勉強をすることが重要だとわかっていても、なんのために勉強をするのかを決めていなければ長続きしません。
勉強するための目標・目的があるかどうかが、継続するためのカギとなります。
大学受験に合格、資格取得などの目標が持てれば、ある程度の勉強へのモチベーションが持てるでしょう。
それでも、計画通りに根気を持って勉強を続けるのは、とても難しいことです。
又、目的を達成した段階や成果が見えたところで、その分野の勉強を止めてしまう人のほうが多いのではないでしょうか。
いずれにせよ、目標や目的がないまま単に学習をしようとしても、続くわけがありません。
英会話をやりたいと漠然と考えても、英語をマスターして一体何をしたいのかがはっきりしていなければ続けることは困難です。
途中段階として、英検などの資格を取るといった分岐点を設定し続けることで、まずはそれに向かって勉強をする目的と理由ができます。
勉強だけの考えでは続かない理由は、つい意識が他の対象へ向いてしまうからです。
中でも、スマホの存在は大きな障壁となるでしょう。
気がついたら見続けてしまい、勉強時間を無駄に過ごしてしまうことがあります。
これは、10代の学生に限らず、社会人でも当てはまるのが実情です。
スマホを代表とした、意味のない時間つぶしのツールやアイテムを、一切排除することが望ましいでしょう。
しかし、排除は現実的に難しい選択なので、ルールとしてしっかりと決めてみたり、第三者にお願いして確認してもらうのもよい方法です。
できる限り、勉強だけに集中できる環境を整えるようにしましょう。
勉強をしていると眠くなってしまうのも続かない理由です。
勉強は、必ずしも自分に興味があるものだけとは限りません。
それでも、目標達成に向けて理解を深めて乗り越えていかないと、光明を指すことはあり得ないでしょう。
興味がないものは退屈で仕方がないので、自然と眠くなっていきます。
あるいは、興味のある内容だとしても、疲労度が高ければ集中できなくなり、頓挫してしまうものです。
長時間座って勉強していれば、体が凝って疲れを覚えてきます。
凝りや疲れは次第に溜まっていき、解消できない場合も考えられるのです。
筋トレによって生み出される脳内分泌物としては、おもにドーパミン・セロトニン・テストステロンがあります。
これらは、メンタルに対して有効的な影響を与える脳内ホルモンです。
筋トレは無酸素運動の一種で、体内に乳酸を分泌します。
とくに、トレーニングをした部位を中心に乳酸が溜まっていくのですが、同時に脳を刺激し、脳内ホルモンの分泌を促す効果も考えられるのです。
では、ドーパミン・セロトニン・テストステロンにどのような利点があるのかを解説します。
ドーパミンは、幸福物質・幸せホルモン・脳内麻薬といった別名を持つほど知られている脳内ホルモンの一つです。
ドーパミンの分泌によって、幸福感が生まれモチベーション、集中力、注意力の向上に期待ができます。
筋トレに限らず、仕事や勉強、何かの作業を達成させた場合にも分泌されます。
ものごとをポジティブにうけとめて、積極的な行動を習慣づけるために効果が期待できる脳内物質です。
セロトニンとは、精神安定に役立ちつつ、気分を高揚させる効果がある脳内ホルモンです。
心の落ち着きを形成しつつも、集中力・記憶力の維持にも効果が期待できるでしょう。
他にも、セロトニンは睡眠へ影響をもたらします。
例えば、睡眠不足になるとストレス、過食、集中力の低下など心身への負担が考えられますが、セロトニンの効果で熟睡できることで、それらの負荷を軽減できるからです。
人が生命を維持するためにも、セロトニンの働きは重要な意味があります。
テストステロンとは、向上心を出すための脳内ホルモンとされています。
モチベーションアップ・競争心を高めるなど前向きな気持ちを出す効果があるようです。
とくに、受験勉強をおこなうのに効果が期待できます。
ただし、テストステロンには分泌量に男女差があるのが特徴で、男性のほうが分泌量が多いことがわかっているそうです。
筋肉の成長のためにも重要な意味があるので、筋トレそのものがテストステロンを分泌するのに適した方法とされています。
かつて米国では、筋トレやボディビルに専念しすぎる人のことを「Least Intelligent(最も知性が少ない人)」と呼んできました。
他にも、よく「脳みそ筋肉」などと揶揄する言葉もあるのが現状です。
米国の研究では、過度な筋トレによって高血圧や高血中脂質を発症する頻度が高まるという研究結果もあります。
しかし、その一方で、逆の研究結果もあるのです。
体を動かすことで、脳に好影響をもたらすこともわかってきました。
最近では、筋トレに励む高齢者が増えている傾向です。
あるいは、大げさな筋トレをするというよりも、ウォーキング等の軽い運動や体操をする年配者を見かけます。
医療分野にて、筋肉と長寿に関する研究がされていて、筋肉量が少ないと寿命が短くなるといった結果もあるほどです。
ただし、筋肉量が多いから長寿というだけでは正確ではないようで、日常的に活動量が多い高齢者は、認知症の発症率が低いことがわかってきました。
言い換えれば、活動量が多くなれば脳によい影響があり、筋肉もついてくると推測できます。
体を動かすことは、脳へ多くの情報を送り活性化させていくようです。
東京大学総合文化研究科の石井直方教授によれば、「マイオカイン」という物質が、筋肉と脳に関係性が深いことを述べています。
マイオカインとは、筋肉運動により分泌される生理活性ホルモンのことで、脳の神経細胞の増加とともに、減少の抑制にも期待できる物質です。
脳と神経との関係は密接で、神経細胞を増やすことで、多くの情報を脳に伝達できます。
つまり、マイオカインが増えることで、脳神経や細胞も活性化するのです。
筋肉の増加どころか一定の維持活動を意識させるだけでも、脳によい影響があることがわかってきました。
精神論にもなりますが、筋トレをおこなうことで目標を立てることができます。
その目標を達成したときの自分を想像しながら励むので、前向きに取り組めるでしょう。
毎日の習慣でも、最終的には努力と結果にこだわることが成功につながるはずです。
筋トレが勉強によい影響を与える理由の一つは、結果にこだわる貪欲さが自然と出てくることが大きいでしょう。
努力をして結果を出す経験を、正しく認識して実践するから、勉強にもその成果を出せるわけです。
例えば、100個の英単語を覚えるのはハードルが高いのですが、すでに90個覚えている人が100個に到達するのは容易いはずです。
すでに、90個分の努力と成功を体験しています。
残り10個も同じペースで取り組むだけの自信があるからです。
もし、10個目で飽きてしまい諦めてしまったら、100個に到達せず思考も停止します。
さらには、停止させた言い訳を探し始めてしまうのです。
これが益々、人間を弱くしていくことにつながってしまいます。
筋トレは、努力と目標を具体化できる手段です。
体のためにもよいだけではなく、メンタル面でも強さを与え、それが勉強意欲にも応用されていくことになります。
勉強の効果を高めるために筋トレを導入する場合、どのようなことに気をつけて実践すればよいのでしょうか。
勉強のための筋トレには、いくつか注意しておくことがあります。
では、具体的に内容を紹介していきましょう。
もし、勉強前に筋トレを済ませたいタイプなら、激しい筋トレはしないほうが無難です。
勉強前に激しい筋トレをすると、疲労感が出て眠気を引き起こす可能性があります。
筋トレの悪影響で眠くなって勉強ができないとなったら本末転倒です。
軽めのメニューで負荷がかかり過ぎないよう、内容をあらかじめ考えて取り組みましょう。
勉強への効果を期待した筋トレは、激しい負荷をかけないことが大前提です。
負荷をかけ過ぎると筋肉痛になり、勉強にも集中できなくなってしまいます。
筋肉痛が和らぐまで少し時間がかかりますし、誤って負荷をかけすぎて思わぬケガをしたら大変です。
ポイントは、決して無理せず、あくまでも勉強のための筋トレに取り組むと考えて励むようにしましょう。
勉強を目的とした筋トレなので、極端に追い込んで仕上げる必要はありません。
大切なのは、できるだけ継続させる工夫です。
体づくりというよりも、勉強への集中力を保つためにやることを忘れてはなりません。
毎日少しずつおこない、勉強がはかどる効果を実感できれば成功です。
そのため、器具を使ったハードなトレーニングではなくても、散歩やウォーキングでも構いません。
体を動かし頭の回転をよくする習慣を持つと考えて取り組んでみてください。
勉強時間を中心としながら、自宅で簡単に取り組める筋トレメニューを紹介します。
勉強の前後・途中などで、思いついたらすぐにできる器具の要らないものです。
また、ジムにいくのは時間とお金の負担がかかるといった悩みをお持ちの人も、胸や肩、腕などから全身にも有効的なトレーニング方法を解説します。
内容は、多くの人がよく知っている王道的なものですが、改めてやり直してみるのもよいでしょう。
筋トレメニューの定番として親しまれているのが、プッシュアップ(腕立て伏せ)です。
初心者や本格的にトレーニングをしている人でも、このトレーニングは共通でおこなわれます。
主に胸・腕・背中の広範囲な筋肉へアプローチできる万能メニューといえるでしょう。
プッシュアップ(腕立て伏せ)の方法
ポピュラーなトレーニングなので、誰でも方法はわかっていると思います。
しかし、実際にやってみるとじわじわと負荷がかかり効果的です。
筋肉量が少ない女性にとっては、結構な強度があるトレーニングなので、辛く感じるようなら、爪先立ちではなく、膝を着けておこってみましょう。
クランチも、よく知られているトレーニング方法の一つです。
お腹周りにある腹直筋・腹斜筋を鍛える基本メニューとされています。
できれば、両足を押さえてくれるパートナーや、腹筋台があればベターですが、なくても一人で手軽に取り組めるのが特徴です。
クランチ(腹筋)の方法
腹筋といえば、シックスパックというイメージですが、しっかりと正しいフォームで取り組むことが大切です。
腹筋が割れるまでには個人差もあるので、根気よく継続していくようにしましょう。
ヒップリフトは、文字通りで、お尻の筋肉を引き締めるための筋トレです。
ヒップアップを目的に取り入れる女性が多いとされています。
主に、お尻の筋肉である大臀筋、腰の筋肉とされる脊柱起立筋)、太ももを同時に鍛える画期的な方法としても取り入れる人がいるのでおすすめです。
ヒップリフトの方法
このトレーニングも、難しいものではなくやり方を覚えれば簡単です。
しかも寝ながらできるため、ベッドの上でもぜひやってみてください。
最近、プランクも自宅での筋トレ種目として定番となってきました。
主にインナーマッスルや体幹を鍛えられるとして注目されています。
プロアスリートの多くが、このトレーニングを採用していることでも知られてきました。
動作そのものは地味で強度が低いタイプですが、やってみると意外ときついので、筋トレをした実感が湧いてくるでしょう。
プランク(フロントブリッジ)の方法
慣れないうちは30秒を目安に取り組み、次第に3分台を目安に増やしていくとよいでしょう。
動きがない分だけ正しい姿勢をキープすることが大切です。
呼吸を止めず自然におこないます。
もし、フォームや呼吸が乱れたら、再度フォームを確認しやり直しましょう。
勉強をする目的はさまざまで、受験などのゴールがある場合と、ゴールを設定せずに趣味や特技、ライフワークの一環として学び続ける場合とに別れます。
ある程度のゴールがあると集中することができますが、ゴールが明確ではない場合は、どうしても気が散って、他の誘惑に負けてしまいがちです。
まずは、些細なことでも構わないので、簡単な目的意識と目標設定が大切になるでしょう。
一生学び続けたいという場合も、どこかで資格にチャレンジしたり、勉強の成果をお披露目するような機会を設けることで、よりやる気が満ちてきます。
ただし、日々のルーティンの中では、気分次第でやったりやらなかったりになりがちです。
できるだけ集中して持続するためにも、試しに筋トレを併用してみることをおすすめします。
勉強の合間におこなう筋トレは、筋肉を増強する追い込み式のトレーニングではなく、あくまでもメンタル面へのアプローチと思って取り組むほうが成功するでしょう。
器具も必要なく、一人でも簡単にできるトレーニングなので、ぜひやってみてください。