筋肉トレーニングを効果的に仕上げて筋肉量を増やすために、筋肉の成長に必要な栄養素をバランスよく摂取していくことが大切です。
ただし、栄養素はたくさんあるので、どのような栄養を中心に摂取していけばよいのか迷うことがあります。
ここでは、筋肉量を理想的に増やすための栄養素について解説しましょう。
タンパク質とは、20種類のアミノ酸によって構成されています。
生き物が生命維持するためには最も重要な栄養素の1つです。
おもに筋肉、内蔵、髪の毛、爪などの形成に必要となります。
食事でタンパク質を摂取した場合、胃腸でアミノ酸に分解されます。
やがて、腸から吸収され全身に行き渡る仕組みです。
体内にアミノ酸が十分にある状態では、筋細胞がアミノ酸をつなげて筋肉を合成し始めます。
平均して、筋トレ効果に重要なタンパク質1日分の摂取量は、体重1kg当たり約1.6gとされています。
仮に体重70kgの人なら、1日112gです。
これを超える量を摂取したとしても、筋肉は受け付けません。
タンパク質は、必要以上に摂ってもカロリーオーバーを招くので、適量の摂取を心がけましょう。
炭水化物とは、筋トレや運動行動にてエネルギー源に使用される栄養素です。
摂取をした後の消化過程ではブドウ糖に分解されます。
やがて小腸から吸収され血液中へと流れていく仕組みです。
血液中に糖が増加しだすと、インスリンというホルモンが分泌されます。
それが、筋肉の細胞内に取り込まれ、グリコーゲンとして貯蔵されるとエネルギー源になるわけです。
また、インスリンは筋肉の合成も助けています。
筋トレで損傷した筋肉の回復をさせる働きもする栄養素です。
脂質とは、エネルギー源でもあり、筋肉に必要な脂溶性ビタミンの吸収を助長します。
中でも、n-3系脂肪酸は疲労緩和、筋肉肥大、痛みの緩和にもなると期待されている成分です。
おもに魚やくるみなどには多く含まれています。
複数のビタミンがありますが、筋トレにて最も役立つのがビタミンB6です。
タンパク質の合成や代謝に関わる重要な栄養です。
他にも、ビタミンDは筋力向上や筋機能の回復に役立つとされています。
金行くトレーニングに必要なエネルギーを作るためには、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンなども必要です。
ミネラルは、カルシウム・マグネシウム・カリウムなどの総称です。
とくに筋肉の運動に関係するのがカルシウムです。
日本人に不足しやすい栄養素とされ、運動に必要な酸素を運搬する役目があります。
また、鉄分の十分な摂取も大切となるでしょう。
無意識に不足しがちになるのがミネラルの欠点です。
日頃からバランスよく摂取し、筋肉トレーニングを効果的に向上させましょう。
毎日筋肉トレーニングを積み重ねていても、筋肉が大きくなる効果は期待できません。
筋肉を大きくするには、栄養素を見直して正しく摂取することが重要です。
筋肉を合成する栄養素について積極的に捉えながら、実直なトレーニングによって成立します。
また、食事と筋トレの関係は、タイミングによっても異なります。
筋トレ前と後の食事を比較すると、効果としてどのような影響や差があるのでしょうか。
筋肉トレーニング前に食事をすれば、食べたものはエネルギー源になります。
ところが、空腹状態のままでトレーニングを始めてしまうと、エネルギー不足が生じてしまうでしょう。
タンパク質が不足していると、分解してエネルギーを作り出せません。
そのため、既存の筋肉からエネルギーを作ろうとし始め、徐々に筋肉量が減少してしまいます。
低血糖状態に陥ることもあり、頭痛・吐き気・めまいなどの症状を引き起こすので、体調そのものにもよくはない状態です。
タンパク質の合成作用は筋肉トレーニング直後が最も活性化します。
筋肉量を増やしたいのであれば、筋トレ後にタンパク質をなるべく意識して摂取すれば効果が期待できるでしょう。
生き物の筋肉組織では、タンパク質の分解と合成を常に繰り返しています。
空腹の際は、分解が活発化されて、食後には合成を始めるローテーションです。
食事の補い方やタイミングで、筋肉が合成されて成長をします。
筋肉の合成を目的にするのなら、筋肉トレーニング後1〜2時間以内を目安に食事をするとよいでしょう。
筋肉トレーニングのタイミングによっては、満腹時での場合、空腹時での場合のより違いも考えられます。
空腹時と満腹時では、筋トレの効果にはどのような差が出てしまうのでしょうか。
双方のメリットや違いについて解説していきましょう。
空腹時の筋肉トレーニングは、脂肪燃焼が促進されカロリーを消費することができます。
インスリンの分泌が抑制されて脂肪分解が優先されます。
そのため、脂肪燃焼に有効だとされています。
注意点としては、筋力の持久力低下によるパフォーマンスの下降があり得ることです。
過度の空腹状態でトレーニングすると、筋肉そのものが減少してしまいかねません。
必ず水分補給や軽めの炭水化物の摂取もしていくことが大切です。
もし筋肉量の維持や増やす目的であれば、空腹時での筋トレはあまりやらないほうがよいでしょう。
ただし、脂肪燃焼に効果的なので、ダイエットを期待するのであれば、食事前の筋トレをするほうが得策です。
空腹時での筋トレのメリットは、体内のインスリンが低下することで脂肪燃焼が促進されやすい点があげられます。
インスリンが低い状態では、アミノ酸の取り込みが高くなり、たんぱく質の合成を促進させるのが特徴です。
筋肉増強や維持に役立つとされています。
筋肥大を抑える効果があり、空腹時の筋トレでは極端に太くならないが強い筋肉づくりに向いているでしょう。
ただし、高強度な筋トレをすると、低血糖のリスクがあるので注意が必要です。
空腹時の筋トレによるデメリットは、低血糖のリスクが高くなりインスリン濃度が低下する点です。
グルコースと呼ばれる成分の供給ができず、血糖値が急降下します。
めまい・立ちくらみなどの症状を引き起こし、体調自体に異変をきたしてしまうでしょう。
また、空腹では筋力発揮能力が低下します。
グリコーゲンが少ない状態なので筋肉の収縮力が低下し、トレーニング回数をこなすのも辛くなってくるでしょう。
満腹時での筋肉トレーニングでは、筋肉合成と成長促進の効果が期待できます。
インスリンの分泌が活発になって血糖値が上昇し、たんぱく質の合成が促進されるからです。
すでにエネルギーが供給されていることで高強度な筋トレが可能になります。
高い強度でトレーニングすれば、筋線維の破壊が起こり休息と栄養摂取を正しくおこなうことで筋肉の再生と成長が促進されるでしょう。
注意点としては、消化器への負担が大きいことです。
吐き気・消化不良を引き起こす可能性があります。
また、満腹感はパフォーマンスの低下を招きやすく、負荷設定が難しくなるでしょう。
できれば消化に時間がかからない食事にしたほうが得策です。
満腹時での筋トレのメリットは、筋肉へのアミノ酸の供給が促進される点です。
たんぱく質の合成が高まって、筋肥大をさせるのに有効的になるでしょう。
高たんぱくな食事を意識して組み合わせれば相乗効果が期待できます。
また、糖の筋肉への取り込みが高くなり、グリコーゲンの貯蔵をするのが特徴です。
低血糖のリスクも低く、より高強度の筋トレを目指すことができるでしょう。
筋肉への刺激が強くなり大きな筋肥大効果が期待できるので、見た目の変化にこだわる人は、なるべく食事をした後に筋トレをするとよいでしょう。
満腹時の筋トレでのデメリットは、胃腸への負担が高まることです。
食事をすると、人体の機能から消化のためのエネルギーを優先します。
そのため、運動パフォーマンスは一時的に低下することになるのです。
消化不良や胃痛、吐き気などの症状が出やすくなります。
また、極度に高い筋トレをすると、血流が消化器系に集中して、筋肉への血流供給が低下するような仕組みです。
筋肉への酸素供給が不足し、パフォーマンスの低下を引き起こします。
さらに、満腹時の運動は全体的に代謝が悪くなると思えばよいでしょう。
できれば、食後1〜2時間経過してからの筋トレが理想です。
筋肉トレーニングの効果をさらに向上させるには、食事のメニューやタイミングが重要です。
筋トレ前と筋トレ後のどちらにするのか、あるいは食事とプロテインの両方を摂るのが理想的かといった疑問や悩みもあることでしょう。
ここでは、食事や栄養補給に関するルールについて説明します。
本来効果を発揮しやすい食事のタイミングとは、運動前・運動中・運動後の3つとされています。
運動前では、空腹状態を避けておこなうことが鉄則です。
空腹のままでは、筋肉の維持や修復に使われる栄養素が足りずに、すでに筋肉に蓄えてあるエネルギーで代用されてしまいます。
トレーニングしても筋肥大が起こりにくく効果が低減するでしょう。
また、水分や糖分を補給することが大切です。
運動後は、トレーニングによって傷ついた筋肉の修復を図るために、食事を摂りたいタイミングとなります。
栄養素を大量に消費した状態なので、しっかり摂取すれば体に吸収されて効果的です。
運動後45分以内に、多少の食事やプロテインを摂取するのがよいとされています。
何を食べるとよいのかも気になるところです。
運動前であれば、必須アミノ酸と糖質がベターとされています。
必須アミノ酸は体中で作ることができません。
糖質は筋肉の成長に欠かせない栄養素です。
アミノ酸と糖質を含んだプロテインなどが手っ取り早いでしょう。
運動中に摂取するとしたら、水分と糖質です。
おすすめはスポーツドリンクなどで、糖質と電解質が含まれたものがよいでしょう。
運動後では、タンパク質と糖質の摂取が必要です。
各々1:3の比率で摂取すれば、筋肉増強に効果的だとされています。
運動後の疲労回復のために、必須アミノ酸も摂取するとさらに素早く筋肉の回復が始まるでしょう。
運動前、運動中、運動後のどの段階でも共通して摂取したいのが糖質です。
筋肉のエネルギー源となります。
ルーティンとして考えてほしいのは、筋トレ前後の両方に食事をする習慣が大切だということです。
筋トレ前は空腹でトレーニングを避けることにもなり、低血糖などのリスクを減らしてくれます。
プロテインなど軽めに摂ってトレーニングをすればよいでしょう。
筋トレ後の食事では、運動後45分以内にタンパク質を摂取するのがゴールデンタイムとされています。
筋肉の修復のためにもなります。
あとは基本的に栄養バランスのとれた食事の習慣を崩さないようにすることです。
筋トレはただひたすら鍛えればいいのではなく、休息や食事との関係性がとても深いとされています。
中でも食事のメニューと摂取するタイミングによって、効果が違ってくるからです。
ここでは、筋肉トレーニングをおこなう際の、食事のタイミングによるメリットとデメリットを解説していきます。
まずは、筋トレ前の食事によって生じるメリット・デメリットです。
食前なので空腹状態に近い身体になっています。
すると、交感神経の働きが活発化していくのがメリットになるでしょう。
交感神経とは、興奮刺激を伝える役目を担っています。
筋肉に供給される血液量が高まり、酸素や栄養素も運ばれることで、新陳代謝が活発になるのが特徴です。
効率的に筋肉成長を促してくれるでしょう。
また、筋繊維が損傷しやすい状況であれば、筋肥大も期待できます。
より強い筋肉を作り出せるでしょう。
食事前の筋トレは、精神的にも気分よく鍛えることができるでしょう。
満腹感がないので体のキレがよい状態でもあります。
胃の中には何もない状態なので消化不良を起こすことがありません。
身軽な状態でトレーニングに取り組めるのもメリットです。
ただし、筋肉の発達のためには筋肉破壊だけではなく、エネルギー補給をして休養も必要となってきます。
トレーニング中と終了後には速やかに栄養素の補給をするようにしましょう。
食前に筋トレをすると、筋肉が破壊されやすくなるのがデメリットです。
体内の糖質が不足した状態のまま運動をするため、筋肉の中に貯めてあったタンパク質を使用し始め、アミノ酸に分解しエネルギーとして消費されてしまいます。
筋トレをしているのに筋肉の成長が遅くなる原因は、空腹なまま食事前に筋トレをしてしまうからです。
基礎代謝も下がりやすく、エネルギー効率の悪い体質になってしまうでしょう。
もしダイエットを期待した筋トレであれば有効的ですが、筋肥大が目的であれば食事前のトレーニングは不向きです。
食前のトレーニングは集中力がなくなる可能性があります。
体内のエネルギー量が少ない状態のままトレーニングに入るため、目標に向けての集中力が続きにくくなることが考えられるでしょう。
高い負荷のトレーニングなどは、意識が散漫になってしまうので効率が悪い結果になることがあります。
食後の筋肉トレーニングについてもメリット・デメリットが考えられます。
運動に必要なエネルギーが充足した状態でのトレーニングをするので、効率よく鍛えられるメリットと、消化不良など直接的な体調不良のデメリットがあると思えばよいでしょう。
では、食後の筋トレについてのメリットとデメリットを解説します。
食後の筋肉トレーニングは、効率よく鍛えた筋肉へ栄養供給できる状態にします。
鍛えたことで損傷した筋肉へ素早く栄養を供給し回復も早くなるでしょう。
損傷した筋肉の修復過程を「超回復」と称します。
超回復によって筋肉の肥大化が期待できるでしょう。
エネルギーも満たされているので疲労も感じにくく、持続力や集中力が高まります。
とくに筋トレ初心者であれば、まずは食後の筋トレを習慣にしてみるとよいでしょう。
運動をする場合、体内の糖質をエネルギーに代えます。体内の糖質が不足していると、既存の筋肉を破壊しはじめてしまいます。
ただし、食後であれば、糖質の補充も十分できた状態です。
そのため、筋肉が破壊される心配がなく、筋肉が成長するコンディションを作れます。
食後の筋トレによるデメリットは消化不良です。
食後の消化では、消化器官に血液が集中しています。
その時間帯に筋トレをすると、本来胃腸へ集中すべき血液が筋肉に集中しはじめ、消化活動に支障がでてしまうのです。
吐き気・不快感・脇腹の痛みなどが生じて、パフォーマンス自体もしにくくなるでしょう。
これは筋トレに限ってはいません。
ストレッチ・ジョギングなどのトレーニングでも起こり得るデメリットなので注意しておきましょう。
筋肉トレーニングをおこなうタイミングは、個人差もあるので自分がやりやすい方法で習慣化するのがベストです。
食事前・食事後のどちらで重点的におこなうかも、日常生活との都合も考えられます。
結論を言えば、どちらでおこなっても構いません。
理論上では、食事前の筋トレはどちらかといえばダイエット目的に向いていますが、食事後の筋トレでは、筋肉をより強化して肥大化させたい場合に向いています。
双方のメリット・デメリットを理解しながら、メリットを伸ばす工夫とデメリットを予防する工夫をしっかりと取り入れておくことが大切です。