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猫がブラッシングを嫌がるのはなぜ?対策や頻度、正しいやり方を解説

猫の大切なお手入れの一つであるブラッシング。セルフグルーミングが得意な猫でも、人間による定期的なブラッシングケアは必要不可欠です。しかし、ブラッシングを嫌がったり、逃げ出したりしてしまう猫も少なくありません。実は、ブラッシングには猫の健康を守るだけでなく、愛猫とのきずなを深める大切な役割があります。本記事では、猫がブラッシングを嫌がる理由から、効果的な対処法、適切な頻度まで詳しく解説していきます。
猫がブラッシングを嫌がるのはなぜ?対策や頻度、正しいやり方を解説

目次
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猫のブラッシングはなぜ必要?

ブラッシングは猫の健康管理において欠かせません。ブラッシングには以下のような効果があります。

1-1毛玉予防

毛玉の形成を防ぎ、抜け毛を効果的に取り除くことは、猫の健康維持に重要な役割を果たしています。猫は自身で毛づくろいをしますが、その際に飲み込んでしまった毛が胃の中で毛玉となり、ヘアボールとなって体調不良の原因となることがあるでしょう。定期的なブラッシングは、こうした毛玉の形成を予防し、過度な毛の摂取を防ぎます。
特に換毛期には抜け毛が増えるため、ブラッシングによる管理がより重要になります。また、室内での抜け毛の飛散も減らし、清潔な環境を保てるのです。さらに、ブラッシングによって新しい毛の生育も促進され、健康的な被毛を維持できます。

1-2被毛の健康のため

被毛の健康維持には、定期的なブラッシングが欠かせないものです。ブラッシングによって皮脂が毛全体に行き渡り、自然なツヤを与えることができます。また、ブラシで優しくとかすことで、血行が促進され、毛根に必要な栄養が届きやすくなるでしょう。これにより、新しい毛の成長が進み、健康的な被毛が保たれます。
さらに、ホコリや汚れを取り除くことで、皮膚のトラブルも防げるのです。特に長毛種は毛が絡まりやすく、自力でのグルーミングだけでは被毛の健康を保つことが難しいため、飼い主によるブラッシングケアが大切になります。結果として、猫の被毛は美しいツヤを取り戻し、見た目にも健康的な印象となるでしょう。

1-3皮膚の健康チェック機会

ブラッシングは愛猫の健康状態を確認できる大切な機会です。毎日のブラッシング中に皮膚の状態を観察することで、皮膚炎やアレルギー反応、外傷、腫れものなどの異常を早期に見つけられるのです。
また、ノミやダニといった外部寄生虫の有無も確認できます。特に、普段目につきにくい首回りや耳の後ろ、おなかの下などの部分も、ブラッシングを通じて丁寧にチェックしましょう。健康上の問題を早期に発見できれば、深刻化する前に適切な対処が可能となり、愛猫の健康を守ることができるのです。ブラッシング中に気になる変化を見つけた場合は、獣医師への相談をお勧めします。

1-4きずなを深める

ブラッシングはグルーミングケア以上の意味を持つものです。猫同士のグルーミングは信頼関係を築く大切な行為であり、飼い主が行うブラッシングも同様の効果をもたらします。適切な力加減で優しくブラッシングすることで、猫はリラックスし、安心感を得られるでしょう。
また、定期的なブラッシングを通じて、飼い主と猫の間に信頼関係が育まれていきます。このスキンシップは、日々の生活における重要なコミュニケーションの一つとなり、猫との絆を深める時間となるのです。ブラッシング中の穏やかなひとときは、お互いにとって心地よい瞬間になります。

猫がブラッシングを嫌がる理由

猫がブラッシングを嫌がる背景には、さまざまな原因が隠れています。適切な対処のために、まずはその理由を理解しましょう。

2-1過去の経験

過去のブラッシングで不快な体験をした猫は、ブラッシングに対して恐怖や警戒心を抱くようになります。強引にブラシをかけられた経験や痛みを感じた記憶が、トラウマとなって残っている可能性があるでしょう。また、ブラッシング中に大きな物音や突然の動きに驚かされた経験も、ブラッシングへの抵抗感につながっていきます。
子猫の頃からブラッシングに慣れていない場合も、急なブラッシングは強いストレスとなるのです。このような経験を持つ猫は、ブラシを見ただけで逃げ出したり、攻撃的な態度を示したりすることがあります。愛猫がこのような反応を示す場合は、これまでの経験を踏まえて、慎重にアプローチしていく必要があるでしょう。

2-2力が強すぎる

ブラッシングの力加減が強すぎることで、猫が痛みや不快感を感じている可能性があるのです。特に毛玉ができている部分を無理に解こうとすると、皮膚を引っ張られる痛みを感じます。また、ブラシの硬さが猫の被毛に合っていない場合も、必要以上の刺激となってしまうでしょう。デリケートな皮膚を持つ猫は、わずかな力加減の違いでも敏感に反応するものです。
顔周りやお腹など、特に敏感な部分では、より繊細なタッチが求められます。こうした不快な刺激を繰り返し受けることで、猫はブラッシングを嫌がるようになります。愛猫の反応を見ながら、適切な力加減を見つけていきましょう。

2-3信頼関係が構築できていない

飼い主との信頼関係が十分に築けていない状態でのブラッシングは、猫にとって大きなストレスとなるものです。特に新しい環境に来たばかりの猫や、保護猫は、人との触れ合いに慣れていないことが多く、ブラッシングを受け入れることが難しい傾向にあります。また、普段から触れ合う機会が少ない猫は、突然のブラッシングに警戒心を示すでしょう。
猫は安全と感じる相手からでないと、長時間の接触を受け入れることができないのです。まずは日常的なスキンシップを通じて、猫との信頼関係を築いていきましょう。ブラッシングは、その信頼関係の上に成り立つケアとなります。

2-4環境ストレス

ブラッシングを行う環境が落ち着かないと、猫は警戒心を強めてしまいます。周囲の騒音や見知らぬ人の出入りなど、さまざまな要因がストレスの原因となります。さらに、普段とは違う場所でブラッシングを行うのも、猫の不安感を高める一因になるのです。
猫は環境の変化に敏感な動物です。さらに、強い香りのある製品を使用したり、急に場所を変えたりすることも、猫の警戒心を高める要因となります。ブラッシングを行う際は、猫が安心できる静かな環境を整えることが大切です。

2-5デリケートな部分に接触する

猫には触られるのを特に嫌がる部位があり、そこへの不用意な接触はブラッシング嫌いの原因となります。おなかや足の裏、尾の付け根など、デリケートな部分は防衛本能が強く働く場所です。これらの部位を最初からブラッシングしようとすると、猫は警戒心を示し、逃げたり攻撃したりする可能性があります。
また、傷や炎症がある部分も敏感になっているため、そこへのブラッシングは痛みを引き起こします。猫の体調や気分によっても、触られることを受け入れられる部位は変化します。愛猫の好みや反応を理解し、慎重にアプローチすることが重要です。

正しいブラッシングのやり方

愛猫が気持ちよく感じられるブラッシングを実現するために、適切な手順とテクニックを学びましょう。

3-1基本的な準備

ブラッシングを始める前の準備と環境作りは、成功のカギを握ります。まずは猫が普段からくつろいでいる場所を選び、周囲の騒音を最小限に抑えましょう。部屋の温度も快適に保ち、突然の来客や大きな物音がない時間帯を選ぶことが重要です。ブラシやコームは事前に用意し、猫の目の前で慌ただしく動き回ることは避けます。
また、猫が安心できる場所に置いたキャリーやベッドなど、いつでも逃げ込める場所を確保しておくことで、ストレスを軽減できます。さらに、飼い主自身もリラックスした状態でブラッシングに臨むことで、その落ち着いた雰囲気が猫に伝わり、より良い結果につながります。

3-2毛の流れを意識した手順

毛の流れに逆らわないブラッシングは、猫に不快感を与えません。頭部から背中、そして尾の方向へと、自然な毛の流れに沿って優しくブラシを動かします。脇腹は背中から腹部に向かって、尾は付け根から先端に向かってブラッシングします
もつれた部分を見つけた場合も、むやみに引っ張らず、少しずつほぐしていきましょう。また、同じ場所を繰り返しブラッシングすることは避け、皮膚への刺激を最小限に抑えることが大切です。このように毛の流れを意識したブラッシングは、被毛の美しさも保ちます。

3-3部位別のテクニック

猫の体の部位によって、適切なブラッシングの方法は異なります。背中や首周りは比較的ブラッシングを受け入れやすい部分なので、ここから始めるのが効果的です。顔周りは特に繊細な部分なので、小さめのブラシや指先を使って優しくとかします。耳の後ろやあごの下は、多くの猫が心地よく感じる場所です。
一方、おなかや足周りは警戒心が強い部分です。猫の様子を見ながら慎重に行いましょう。尾の付け根周辺も敏感な部分なので、強い力を入れずにブラッシングします。各部位での猫の反応を観察しながら、心地よさを感じられる方法を見つけていきましょう。

3-4コミュニケーションの取り方

ブラッシング中のコミュニケーションは、猫の快適さを左右する要素です。優しい声かけや、時折の頭や耳のマッサージを織り交ぜることで、猫はより安心感を得られます。ブラッシング中の猫の表情や仕草を観察し、不快感を示した場合はすぐに中断しましょう。
また、猫が自らブラッシングを求めてくるような仕草を見せたときは、そのタイミングを逃さず応えることで、ポジティブ体験として記憶されます。ブラッシング後には、お気に入りのおやつや遊びの時間を設けることで、良い思い出として定着させられます。このような丁寧なコミュニケーションが、ブラッシングへの抵抗感を減らします。

猫のブラッシングの頻度は?

ブラッシングの頻度は猫の毛質や生活環境によって異なります。適切な頻度を把握し、継続的なケアを心がけましょう。

4-1短毛種と長毛種の違い

短毛種と長毛種では、必要なブラッシングの頻度が大きく異なります。短毛種は毛が比較的まとまりやすく、週に1~2回程度のブラッシングで十分な場合が多いです。一方、長毛種は毛が絡まりやすく、毛玉ができやすいため、毎日のブラッシングが推奨されます。ペルシャ猫やメインクーンといった長毛種は、特に念入りなケアが必要です。
また、同じ短毛種や長毛種でも、個体によって毛の質や量に差があるため、愛猫の状態に合わせて調整が必要です。被毛が密な猫や、毛が細く柔らかい猫は、より頻繁なブラッシングが必要になるでしょう。

4-2換毛期のブラッシング頻度

春と秋の換毛期には、通常よりも多くの抜け毛が発生するため、ブラッシングの頻度を増やす必要があります。この時期は短毛種でも毎日のブラッシングが推奨され、長毛種は1日2回に分けて行うことも効果的です。換毛期は約2~3週間続きますが、室内飼いの猫は気温の変化が少ないため、やや長引く傾向にあります。
この時期のブラッシングは、毛球症の予防に特に重要です。また、換毛期前から徐々にブラッシングの頻度を増やしていくことで、急激な環境変化によるストレスを軽減することができます。愛猫の体調を見ながら適切な頻度を見極めましょう。

4-31回あたりの適切な時間

ブラッシングの時間は、猫のストレス度合いを考慮して設定します。初めてのブラッシングや、まだ慣れていない猫の場合は、2~3分程度の短時間から始めることをお勧めします。慣れてきたら徐々に時間を延ばし、最大でも10分程度を目安にします。
長時間の拘束は猫にストレスを与える可能性があるため、複数回に分けて行うことも効果的です。特に長毛種の場合、全身のブラッシングに時間がかかりますが、朝晩に分けるなど、工夫して実施しましょう。猫の様子を見ながら、心地よく感じられる時間を見つけることが大切です。

猫がブラッシングを嫌がる時はどうする?

ブラッシングを嫌がる猫への対応は、長期的な視点が必要です。優しさをもって、徐々に慣れていけるよう工夫しましょう。

5-1徐々に慣らしていく

ブラッシングに慣れていない猫には、段階を踏んだアプローチが効果的です。まずはブラシを猫の近くに置き、存在に慣れさせることから始めましょう。次に、ブラシで遊ぶような仕草を見せ、ブラシが怖いものではないことを理解させます。猫が警戒心を示さなくなったら、少しずつ体に触れる時間を作ります。
この時、背中など触られても平気な部分から始めることが重要です。ブラシでの接触は最初の数秒から始め、徐々に時間を延ばしていきます。急がず、愛猫のペースに合わせて進めることで、自然とブラッシングに前向きになる猫も増えています。

5-2リラックスしているときに行う

猫がリラックスしているときを見計らってブラッシングを行いましょう。食後や日向ぼっこをしているとき、お昼寝前後など、猫が穏やかな気分のときが最適です。このようなタイミングでは、猫の警戒心が低下しており、新しい経験も受け入れやすい状態です。
また、普段からマッサージや優しい撫で方で触れ合う習慣をつけることで、ブラッシングへの抵抗も減少します。飼い主の膝の上や、お気に入りの場所でブラッシングを行うことも、リラックス効果を高める方法です。

5-3猫にご褒美をあげる

ブラッシングを受け入れた際の適切な褒め方や報酬は、ポジティブな体験として記憶される重要な要素です。優しい声かけやマッサージ、お気に入りのおやつなど、猫が喜ぶ報酬を用意しましょう。ブラッシング中も、時折頭を撫でたり、言葉をかけたりすることで、安心感を与えることができます。
ただし、報酬は適量を心がけ、与えすぎないように注意が必要です。また、ブラッシング直後に楽しい遊びの時間を設けることで、次回以降安心してブラッシングしてもらえるようになります。
苦手部位への対応
特定の部位のブラッシングを嫌がる場合は、その部分への丁寧なアプローチが必要です。まずは問題なくブラッシングできる部位から始め、徐々に苦手な部位の周辺に近づいていきます。この時、猫の反応を細かく観察し、嫌がる素振りを見せたら、すぐに心地よい部分に戻ることが重要です。
また、苦手部位はより柔らかいブラシを使用したり、指でとかすように優しくブラッシングしたりするなど、道具や方法を工夫します。無理に進めず、愛猫が受け入れられるペースでゆっくりと慣らしていくことがポイントです。

おすすめの猫のブラッシング道具

適切なブラシの選択は、効果的なグルーミングの第一歩です。愛猫の毛質や性格に合わせて、最適な道具を見つけましょう。

6-1スリッカーブラシ

スリッカーブラシは細かい針金のピンが密集した構造で、特に長毛種の毛玉解消に効果的です。ブラシを使用する際は、毛の流れに沿って優しく動かし、一箇所に集中しすぎないよう注意が必要です。表層の被毛から徐々に深い層へと移動させ、毛玉を見つけたら丁寧にほぐしていきます。
ピンが皮膚に直接当たらないよう、角度を調整しながら使用することがポイントです。新しいスリッカーブラシは特に尖っていることが多いため、使い始めは力加減に気を付けましょう。定期的なブラシの手入れも忘れずに行い、清潔な状態を保つことが大切です。

6-2コーム

コームは毛玉の発見や、細かな抜け毛の除去に役立つ道具です。粗目と細目の両方の歯を持つタイプが便利で、まずは粗目の歯で全体的な毛のもつれを解消し、その後細目の歯で丁寧に仕上げていきましょう。特に顔周りや耳の後ろなど、細かな作業が必要な部分での使用に適しています。
コームを使用する際は、毛の根元から毛先に向かって、ゆっくりと丁寧にとかすことがポイントとなるでしょう。引っかかりを感じたら、その部分の毛を少しずつほぐしながら進めることで、猫に負担をかけないグルーミングが可能になります。

6-3ピンブラシ

ピンブラシは、ゴムやプラスチックにピンが植え込まれたブラシです。選ぶ際は、ピンの先端が丸みを帯びているものがおすすめです。これにより皮膚への刺激を抑えられ、安心してブラッシングを受けてもらえるようになります。さらに、ピンの長さや密度は、猫の毛の長さに合わせて選びましょう。
短毛種には比較的短いピン、長毛種にはやや長めのピンが適しています。ブラシのサイズは、手に馴染みやすく、扱いやすい大きさを選びましょう。使用時は、まず軽く表面をブラッシングし、徐々に力加減を調整しながら深い層までケアしていきます。

6-4ラバーブラシ

ラバーブラシは、柔らかい突起で作られており、特に短毛種のブラッシングに適しています。静電気が起こりにくく、マッサージ効果も高いため、ブラッシングが苦手な猫にも使いやすい道具です。使用時は円を描くように優しく動かし、血行を促進させながら抜け毛を集めていきます。
手袋タイプのラバーブラシは、まるで撫でているような自然な動作でブラッシングができ、猫も警戒しにくい利点があります。また、水に強い特性を活かし、シャンプー時のマッサージ用としても活用できます。

6-5獣毛ブラシ

獣毛ブラシは、天然の獣毛を使用しているため、被毛に優しく、自然なツヤを引き出す効果があります。豚毛やイノシシの毛など、素材によって硬さが異なるため、猫の毛質に合わせて選択することが大切です。
使用時は、被毛の表面を優しくブラッシングし、自然な油分を全体に行き渡らせることを意識しましょう。ブラシの密度が高いため、細かなホコリや汚れも効果的に除去できるのです。ただし、獣毛は水に弱い特性があります。使用後は十分に乾燥させ、定期的なお手入れが欠かせません。

まとめ

猫へのブラッシングは、正しい知識と実践が大切です。猫がブラッシングを嫌がる場合には、まずはその原因を理解し、少しずつ慣らしていきましょう。日々のブラッシングは、ただの被毛の手入れ以上の意味があり、大切なコミュニケーションの時間です。愛猫がリラックスした状態で、優しく丁寧なブラッシングを心がけましょう。そして、愛猫に合った道具を選び、正しい頻度でケアを続けることで、健康的で美しい被毛を保てます。ブラッシングを通じて、愛猫とのきずなを深め、より良い関係を築いていきましょう。

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