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リーダーウォークとは?しつけ方法や教え方・練習法を解説

愛犬との散歩中、引っ張られたり思うように歩けなかったりと悩んでいる飼い主さんは多いのではないでしょうか。そんな時に役立つのが「リーダーウォーク」というしつけ方法です。本記事では、リーダーウォークの基本から実践的な教え方、効果的な練習法まで詳しく解説していきます。
リーダーウォークとは?しつけ方法や教え方・練習法を解説

目次
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リーダーウォークとは?

リーダーウォークは、飼い主が主導権を握りながら犬と一緒に歩く方法です。犬を上手に連れて歩くだけでなく、信頼関係を築きながら安全に散歩を楽しむことができます。かつては「犬は群れ社会の動物だから、飼い主がリーダーシップを取る必要がある」と言われていましたが、現在では「コミュニケーションと信頼関係の構築」が重視されています。
リーダーウォークの重要性は、安全面だけでなく、愛犬との絆を深める機会にもなります。飼い主さんへの信頼がなければ、犬は自由気ままに動き回ってしまい、事故や拾い食い、他の犬との喧嘩などのリスクが高まります。「飼い主さんのすぐ側にいれば安心だ!」と愛犬が思えるようになれば、リーダーウォークはマスターできるでしょう。

1-1リーダーウォークの基準

リーダーウォークをマスターしたと言える最終目標は、いくつかの基準があります。飼い主さんの指示した側を歩けるようになること、前に出ないように歩くこと、飼い主さんの方向転換に合わせてポジションを守ったままついてくること、飼い主さんが止まった際に自分もその場に止まり待機すること、そして飼い主さんが歩き出したタイミングで自分も歩き出すことです。
多くのリーダーウォークトレーニング方法では、犬を飼い主さんの「左側」につかせて歩くことが一般的です。しかし、一般の飼い主さんの場合、状況によっては危険な場合もあるため、左右どちらでも飼い主さんが誘導した側を歩けるようにしておくことが大切です。

1-2リーダーウォークの手順

リーダーウォークを実践する際の具体的な手順を見ていきましょう。まず、愛犬と一緒に散歩に出かけます。リードはゆるめて、飼い主さんが先頭を歩きます。犬が引っ張ろうとしたら、その場で立ち止まりリードを引き締めて落ち着かせます。犬がついていくよう優しく呼びかけ、前に進みます。
徐々にリードの長さを調整し、飼い主さんのペースに合わせて歩いてもらいます。この一連の動作を繰り返し行うことで、犬に飼い主さんのリーダーシップを認識させることができます。飼い主さんの指示に従い落ち着いて歩く習慣が身につけば、散歩中の問題行動も改善されるはずです。

1-3リーダーウォークの効果

リーダーウォークができるようになると、さまざまな利点があります。まず、散歩がスムーズにできるようになります。犬のコントロールがしやすくなるため、犬の勝手な行動に悩むことが減り、飼い主さんも犬も楽しく散歩できるようになります。
また、リーダーウォークは犬を危険から守ることにもつながります。犬の急な飛び出しを防ぎ、ケガを予防できます。犬が飼い主さんの動きに合わせることができるようになるため、予期しない危険に犬が巻き込まれることを防止できます。
さらに、首輪による犬への負担を軽減することも可能です。飼い主さんが無理に首輪を引っ張る必要がなくなるため、犬自身も快適に毎日の散歩を楽しむことができるでしょう。
その他、リーダーウォークを通じて、飼い主さんは愛犬の体調の変化にも気づきやすくなります。いつもと違う歩き方をしていないか、息遣いに変化はないか、など、日々の観察を通じて早期に健康上の問題を発見できる可能性が高まります。リーダーウォークは犬のメンタルヘルスにも良い影響を与えます。規則正しい散歩習慣と、飼い主さんとの質の高いコミュニケーションは、犬のストレス軽減や幸福感の向上につながります。

リーダーウォークはかわいそう?

リーダーウォークについて、「犬がかわいそう」という意見を耳にすることがあります。この考えの背景には、犬の自由を制限しているのではないかという懸念があります。しかし、リーダーウォークの本質を理解すれば、決して犬にとって不利益なものではないことがわかります。

2-1かわいそうといわれる理由

リーダーウォークがかわいそうだと言われる主な理由はいくつかあります。
まず、犬の自由な行動を制限しているように見える点です。犬が好きなように歩き回ったり、においを嗅いだりすることを阻害しているように感じる人もいます。次に、犬に対して厳しい態度で接しているように見える場合があります。リーダーウォークの訓練中、飼い主が犬に対して強い態度で指示を出す様子を見て、犬を抑圧しているように感じる人もいるでしょう。
また、犬の自然な本能や好奇心を抑制しているように思える点も挙げられます。特に、積極的に環境を探索したい子犬や、活発な犬種の場合、リーダーウォークによってその行動が制限されているように見えることがあります。
さらに、犬にストレスを与えているのではないかという懸念もあります。慣れないうちは、飼い主の指示に従うことに戸惑う犬もいるでしょう。その様子を見て、犬にとって負担になっているのではないかと心配する人もいます。
しかし、これらの懸念は、リーダーウォークの本質を誤解していることから生じています。前述の通り、リーダーウォークは、犬の安全を守り、飼い主との信頼関係を深める手段なのです。
リーダーウォークの練習方法
リーダーウォークを愛犬に教える際は、段階を踏んで練習していくことが重要です。まずは道具選びから始めましょう。必要な道具は、リード、首輪またはハーネス、そして愛犬の大好きなおやつです。首輪やハーネスは愛犬に適したものを選びましょう。引っ張り癖がある子や、首に疾患がある場合には、ハーネスを使用する方が良いでしょう。
練習は、最初は家の中から始めるのがおすすめです。外は刺激が多く、テンションが上がって練習に集中できない場合があります。飼い主さんが立った状態で、おやつを手に取り、愛犬が飼い主さんのすぐ横で待機できるようになったらご褒美を与えます。
待機することができるようになったら、今度はおやつを持ったまま家の中を歩きます。愛犬がしっかりと飼い主さんの横についてくることができれば、おやつをあげるといった形にし、徐々に距離を伸ばしていきます。この際、アイコンタクトを取りながら練習することが非常に重要です。飼い主さんと犬が「しっかりとお互いを意識しながら歩く」ということを念頭において練習してください。

2-2外での練習のポイント

室内では上手く歩くことができても、外に出ると誘惑がたくさんあるため、はじめのうちは興奮してしまうのも無理はありません。しかし、飼い主さんは常に冷静に対応することが大切です。
もし、愛犬がグイグイと飼い主さんより前に出てしまったら、飼い主さんはその場で何も言わず立ち止まります。この時、声をかけないことがポイントです。リードが張って、前に進めないと自ら気づいた犬が、飼い主さんの側に戻ってきたらしっかりと褒めてあげます。
そしてまた歩き出し、犬が前に行ってしまったらこれを繰り返します。リーダーウォークはその犬の性格もありますが、すぐに完璧にできるようになるものではありません。習得には根気が必要ですが、愛犬との信頼関係構築のためと思い、粘り強く取り組みましょう。

2-3リーダーウォークと犬種

リーダーウォークを実践する際は、犬種による特性も考慮に入れる必要があります。例えば、牧羊犬系の犬種は群れをまとめる本能があるため、飼い主さんの前を歩こうとする傾向があります。一方、ハウンド系の犬種は嗅覚が発達しているため、においを追って脇道にそれやすい傾向があります。
こうした犬種特性を理解した上で、それぞれの犬に合わせたアプローチを取ることが大切です。例えば、牧羊犬系の犬には、飼い主さんの横をきちんと歩くことで「群れをまとめる」役割を果たしていると感じさせるような工夫をするのも良いでしょう。ハウンド系の犬には、定期的に嗅ぐ時間を設けるなど、本能を尊重しながらもコントロールする方法を考えることが効果的です。
どの犬種であっても、その犬の個性と特性を理解し、尊重しながらトレーニングを進めることが、成功への近道となります。

2-4飼い主さんの心構え

リーダーウォークを成功させるためには、飼い主さんの心構えも非常に重要です。まず、忍耐強く一貫した態度を保つことが大切です。犬の学習速度は個体差があり、すぐに上手くいかないこともあります。そんな時こそ、焦らずに粘り強く取り組む姿勢が求められます。
また、常に冷静さを保つことも重要です。犬が言うことを聞かない時や、予想外の行動をとった時でも、感情的にならずに対応することが大切です。怒ったり、大声で叱ったりすることは、犬に不安や恐れを与え、かえって学習効果を低下させてしまう可能性があります。
さらに、犬の気持ちを理解しようとする姿勢も必要です。犬が何かに反応したり、興奮したりする理由を考え、その背景にある感情や欲求を理解しようと努めることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
そして、リーダーウォークは、ただのしつけではなく、愛犬とのコミュニケーションを深める機会でもあります。楽しみながらトレーニングを続けることで、愛犬との絆はさらに深まっていくでしょう。

リーダーウォークの応用

リーダーウォークの基本ができるようになったら、さまざまな応用やバリエーションを取り入れて、より効果的なトレーニングを行うことができます。例えば、公園などで立ち木の間を縫うように歩いたり、木の幹の周囲を回ったりすることで、犬の注意を飼い主さんに向けさせる練習ができます。
また、歩く速度にバリエーションをつけることも効果的です。はじめは犬のペースに合わせてやや速めに歩き、徐々にゆっくり歩いたり早足になったりと変化をつけていきます。これにより、犬が飼い主さんの動きにより敏感に反応できるようになります。
さらに、「ツケ」や「オスワリ」などの基本的なコマンドをリーダーウォークと組み合わせることで、より高度なトレーニングを行うことができます。例えば、歩いている途中で突然立ち止まり、犬に座るよう指示を出す練習を取り入れるのも良いでしょう。

3-1日常生活への活用

リーダーウォークで身につけたスキルは、散歩以外の日常生活のさまざまな場面でも活用することができます。例えば、獣医さんへの訪問時や、人混みの中を歩く時、新しい場所を訪れる時など、犬にとってストレスが高くなりやすい状況でも、リーダーウォークの技術を活用することで、より落ち着いて行動できるようになります。
また、家庭内でのルール作りにも応用できます。例えば、食事の時に飼い主さんの指示を待って食べ始める、ドアや門を出入りする際に飼い主さんの許可を待つなど、日常生活のさまざまな場面で、リーダーウォークで培った「飼い主さんの指示に従う」という基本的な態度を活かすことができます。
さらに、他の犬や人との社会化にも役立ちます。リーダーウォークを通じて飼い主さんとの信頼関係が深まった犬は、新しい環境や他の動物、人との出会いにも、より自信を持って対応できるようになります。

3-2リーダーウォークと他のしつけ方法の組み合わせ

リーダーウォークは、他のしつけ方法と組み合わせることでより効果的なトレーニングができます。例えば、基本的なコマンドのトレーニングとリーダーウォークを組み合わせることで、散歩中の様々な状況に対応できる犬に育てることができます。
「おすわり」「まて」「おいで」などの基本コマンドを、リーダーウォーク中に適宜取り入れることで、犬の注意力と従順さを高めることができます。また、クリッカートレーニングを併用することで、より効率的に犬に望ましい行動を教えることができます。
さらに、ポジティブ強化のトレーニング手法をリーダーウォークに取り入れることも効果的です。望ましい行動をした際に即座に褒めたり、おやつを与えたりすることで、犬の学習意欲を高め、トレーニングの効果を高めることができます。

リーダーウォークの注意点

リーダーウォークを実践する中で、うまくいかないことも多々あります。よくある失敗とその対処法を見ていきましょう。
まず、散歩が苦手な犬の場合、リーダーウォークの練習中にテンションが下がってしまい、そのまま散歩が中断になってしまうことがあります。このような場合は、短い距離から始めて徐々に距離を伸ばしていくことが大切です。また、犬が楽しめるおもちゃや特別なおやつを用意して、散歩自体を楽しい経験として認識させることも効果的です。
次に、他の犬や人とすれ違う際に、犬が反応してリーダーウォークを忘れてしまうケースがあります。これは多くの飼い主さんが直面する問題です。このような場合は、まず静かな環境で練習を重ね、徐々に刺激のある環境に慣れさせていくことが大切です。また、すれ違う前に犬の注意を引き、おやつなどで気を逸らすテクニックも役立ちます。
また、飼い主さん自身が一貫性を持ってトレーニングを続けることができないケースもあります。犬を自由に歩かせてあげたいという気持ちから、時々ルールを緩めてしまうことがあるかもしれません。しかし、これは犬に混乱を与えてしまう可能性があります。リーダーウォークは愛犬の安全を守るためのものだと心に留め、一貫したアプローチを心がけましょう。
まず、犬の年齢や体調、性格に合わせてトレーニングを進めることが大切です。特に子犬や高齢犬、健康上の問題がある犬の場合は、無理のない範囲でゆっくりとトレーニングを進めましょう。
また、リーダーウォークは決して犬を厳しく調教するものではありません。犬の自然な行動や好奇心を完全に抑え込むのではなく、安全な範囲内で犬が環境を探索する機会を与えることも大切です。時には、犬の興味のあるものを嗅がせたり、短い自由時間を設けたりすることで、メリハリのある散歩を心がけましょう。
さらに、トレーニング中は犬のストレスサインに注意を払うことが重要です。過度なストレスは学習効果を低下させるだけでなく、犬との信頼関係にも悪影響を与える可能性があります。犬が不安や疲れを示している場合は、一旦トレーニングを中断し、リラックスさせることが大切です。

4-1リーダーウォークが難しいケース

すべての犬がすんなりとリーダーウォークをマスターできるわけではありません。特に、過去にトラウマ的な経験をした犬や、極度に臆病な犬、逆に非常に活発で興奮しやすい犬など、難しいケースもあります。
このような場合は、より段階的なアプローチが必要です。例えば、臆病な犬の場合は、まず家の中や庭など、安全で慣れた環境から始め、徐々に新しい環境に慣れさせていくことが大切です。活発な犬の場合は、散歩の前に十分な運動をさせて余分なエネルギーを発散させてから、リーダーウォークの練習を始めるのも効果的です。
また、特定の刺激(他の犬、大きな音など)に過剰に反応する犬の場合は、脱感作療法的なアプローチも有効です。刺激を徐々に増やしていきながら、常に犬が対処できるレベルを保ち、少しずつ慣れさせていくのです。
どのような場合でも、根気強く、愛情を持って対応することが大切です。進歩が遅くても、小さな成功を積み重ねていくことで、最終的には大きな変化が現れるはずです。

資格取得でリーダーウォークを深く学ぶ

リーダーウォークをさらに深く学び、専門的な知識を身につけたい方には、資格取得もおすすめです。例えば、犬のしつけインストラクター資格があります。この資格では、犬種によるしつけの違い、首輪やハーネスなどの道具を用いたしつけの方法、犬の性格別によるしつけの方法など、幅広い知識を学ぶことができます。
また、ドッグトレーニングアドバイザー資格も、家庭の犬のしつけについて基礎的な知識やトレーニングの手順を学ぶのに適しています。アイコンタクト、ハンドサイン、基本的な指示(おすわり、伏せ、待て、おいでなど)のトレーニングについて、詳しく学ぶことができます。
これらの資格を取得することで、より効果的なリーダーウォークのトレーニング方法を習得し、愛犬との関係をさらに深めることができるでしょう。また、将来的に他の飼い主さんをサポートするドッグトレーナーとしての道を開くきっかけにもなるかもしれません。
資格取得を目指す際は、自分の目的や学びたい内容に合わせて、適切な資格を選ぶことが大切です。また、座学だけでなく、実践的なトレーニング方法も学べる講座を選ぶと、より効果的に学習を進めることができるでしょう。

まとめ

リーダーウォークは、愛犬との散歩をより楽しく安全なものにするための大切なしつけ方法です。飼い主さんが主導権を持ちながらも、愛犬との信頼関係を深めていくことがポイントです。最初は難しく感じるかもしれませんが、根気強く続けることで必ず成果が表れます。
リーダーウォークを身につけることで、散歩中の引っ張りや急な飛び出しなどの問題行動が改善され、愛犬との絆もさらに深まっていくでしょう。また、このスキルは散歩以外の日常生活でも活かすことができ、愛犬との生活全体がより豊かになります。

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