閉じる
ペットトリミングアドバイザー®資格

犬がトリミングで暴れるのはなぜ?おとなしくさせる方法や注意点を解説

愛犬のトリミングは必要不可欠なケアですが、なかには暴れたり嫌がったりする犬もいます。なぜ犬はトリミングで暴れてしまうのでしょうか。飼い主さんにとっては心配の種ですし、トリマーさんにとっても大変危険です。本記事では、犬がトリミングで暴れる理由と、おとなしくさせるための方法、注意点について詳しく解説していきます。
犬がトリミングで暴れる主な理由
犬がトリミングで暴れる理由はさまざまですが、主に以下のような原因が考えられます。
犬がトリミングで暴れるのはなぜ?おとなしくさせる方法や注意点を解説

目次
ペットトリミングアドバイザー®資格認定試験はこちら
https://www.nihonsupport.org/petshikaku/pettrimming/

犬がトリミングで暴れる主な理由

犬がトリミングで暴れる理由はさまざまですが、主に以下のような原因が考えられます。

1-1慣れていないことへの恐怖心

初めての環境や経験に対して、犬は不安や恐怖を感じることがあります。特に子犬の頃からトリミングの経験がない場合、突然知らない場所で見知らぬ人に触られることに強い恐怖を感じてしまうかもしれません。
トリミングサロンは犬にとって非日常的な環境です。見慣れない道具や機械の音、他の犬の匂いなどが、犬のストレスを高める要因となります。また、トリミング台に乗せられることで、逃げ場がないと感じて不安になることもあります。

1-2過去のトラウマ体験

以前のトリミングで嫌な思いをした経験がトラウマとなり、その記憶がよみがえって暴れてしまうこともあります。例えば、次のような経験が考えられます。
・深爪をされて痛い思いをした
・シャンプーやバリカンで皮膚にかゆみが出た
・お湯の温度が合わずに不快だった
・ブローの風が強すぎて怖かった
・無理に押さえつけられた
こうした経験により、トリミング=嫌なものというイメージが定着してしまうのです。一度ネガティブな経験をすると、その後のトリミングに対して強い抵抗感を示すようになることがあります。

1-3触られることへの抵抗感

飼い主以外の人に触られることに慣れていない犬は、トリマーに体を触られることに強い抵抗を感じることがあります。特に耳や足先、お尻周りなど敏感な部分を触られると、不快に感じて暴れてしまう可能性があります。
犬は本能的に、見知らぬ人に触られることを警戒します。特に、普段あまり触られない部分を触られると、驚いたり不快に感じたりすることがあります。また、爪切りや耳掃除など、少し痛みを伴う作業に対しても抵抗を示すことがあります。

1-4シャイな性格

生まれつきシャイな性格の犬は、見知らぬ人や環境に対して強い警戒心を持つことがあります。そのため、トリミングサロンという慣れない場所で、知らない人に触られることに大きなストレスを感じてしまうのです。
シャイな犬は、新しい環境や人に対して過剰に反応することがあります。トリミングサロンの雰囲気や、トリマーの声や動きに敏感に反応し、不安や恐怖を感じやすくなります。このような犬は、トリミング中に固まってしまったり、逆に暴れたりする傾向があります。

1-5トリマーとの相性

犬にも相性があり、担当するトリマーとの相性が合わないと感じると、落ち着かなくなってしまうことがあります。トリマーの声のトーンや手の動き、雰囲気などが、犬にとってストレスになることもあるのです。
例えば、声が大きすぎたり、動きが急だったりするトリマーに苦手意識を持つ犬もいます。逆に、優しすぎる声や遠慮がちな態度に不信感を抱く犬もいるかもしれません。犬は人間以上に相手の雰囲気を敏感に感じ取るため、トリマーとの相性は重要な要素となります。

1-6体調不良や痛み

体調が優れない時や、どこかに痛みがある場合、普段は大丈夫なトリミングでも暴れてしまうことがあります。特に高齢犬や持病のある犬は、体調の変化に敏感です。
例えば、関節に痛みがある犬が長時間同じ姿勢を強いられると、不快感から暴れてしまうかもしれません。また、皮膚トラブルがある場合、シャンプーやブラッシングが通常以上に刺激となることもあります。
このように、犬がトリミングで暴れる理由は一つではありません。それぞれの犬の性格や経験、環境によって異なります。では次に、トリミングで暴れる犬をおとなしくさせるための方法を見ていきましょう。

トリミングで暴れる犬をおとなしくさせる方法

トリミングで暴れる犬をおとなしくさせるためには、根気強く適切なアプローチが必要です。以下のような方法を試してみましょう。

2-1トリミングに慣れさせる

子犬の頃から定期的にトリミングを経験させることが、最も効果的な方法です。3〜4週間に1度程度の頻度でサロンに連れて行き、トリミングの雰囲気に慣れさせましょう。最初は短時間で済ませ、徐々に時間を延ばしていくのがポイントです。
子犬の時期は新しい経験を受け入れやすく、ポジティブな印象を形成しやすい時期です。この時期にトリミングを楽しい経験として認識させることで、将来的なトリミングへの抵抗感を軽減できます。
最初は、サロンに連れて行くだけでも良いでしょう。そこで他の犬がトリミングを受けている様子を見せたり、トリマーと触れ合う時間を持ったりすることで、徐々に環境に慣れていきます。その後、簡単なブラッシングやシャンプーから始め、少しずつトリミングの工程を増やしていきます。

2-2段階的に慣らしていく

いきなり全身のトリミングを行うのではなく、まずはブラッシングやお手入れから始めましょう。家でのお手入れに慣れてきたら、サロン見学から始めて、少しずつトリミングの工程を増やしていきます。犬のペースに合わせて、焦らず根気強く進めることが大切です。
具体的には、以下のような段階を踏んでいくとよいでしょう。
・家でのブラッシング
毎日短時間のブラッシングを行い、触られることに慣れさせます。
・部分的な水浴び
足や顔を軽く濡らす程度から始め、徐々に全身シャンプーに慣れさせます。
・ドライヤーの音に慣れさせる
最初は音だけを聞かせ、徐々に風を当てる時間を増やします。
・トリミング道具に慣れさせる
ハサミやバリカンの音や振動に慣れさせます。
・部分的なカット
足回りや顔周りなど、少しずつカットする範囲を広げていきます。
各段階で犬がリラックスしていることを確認しながら進めます。無理をせず、犬の反応を見ながらゆっくりと進めることが大切です。

2-3リラックスできる環境を作る

トリミング中は犬ができるだけリラックスできるよう、環境を整えることが重要です。静かな音楽をかけたり、好みのおもちゃを近くに置いたりするのも効果的です。また、飼い主が一緒にいることで安心する犬もいますが、逆に興奮してしまう場合は視界に入らないようにするなど、犬の性格に合わせた対応が必要です。
トリミングルームの温度や湿度にも注意を払いましょう。快適な環境であることが、犬のストレス軽減につながります。また、他の犬の声や匂いが気になる場合は、できるだけ静かな場所や個室でトリミングを行うことも検討しましょう。
トリミング台の上に滑り止めマットを敷いたり、柔らかいタオルを置いたりすることで、犬が安心して座れる環境を作ることもできます。また、高さ調整ができるトリミング台を使用し、犬の体格に合わせて最適な高さに設定することも大切です。

2-4ポジティブな強化を行う

トリミング中におとなしくできたときは、必ず褒めてご褒美を与えましょう。好きなおやつや言葉かけなど、犬が喜ぶ方法で褒めることで、トリミング=良いことというポジティブな連想を作ることができます。
ポジティブな強化は、トリミングの前後だけでなく、途中でも適宜行うことが効果的です。例えば、シャンプーが終わった後やブロー中に一時休憩を入れ、その都度褒めたりおやつを与えたりすることで、犬の不安を和らげることができます。
ただし、おやつを与える際は量に注意しましょう。トリミング中にたくさんのおやつを食べると、お腹が膨れて不快感を感じる可能性があります。少量のおやつを用意し、こまめに与えるのがよいでしょう。

2-5短時間で区切って行う

最初から長時間のトリミングを目指すのではなく、短い時間で区切って少しずつ行うのがおすすめです。例えば、10分程度のトリミングを1日に数回に分けて行うなど、犬の集中力や我慢の限界を考慮しながら進めましょう。
特に、トリミングに慣れていない犬や不安を感じやすい犬の場合、長時間のトリミングはストレスが大きくなりすぎてしまいます。短時間で終わらせることで、「思ったより大したことなかった」という印象を与えることができます。
また、トリミングの途中で休憩を入れることも効果的です。休憩中は犬を台から降ろし、自由に動かせる時間を設けましょう。この時間を利用して、水を飲ませたりトイレに行かせたりすることで、犬のストレス軽減につながります。

2-6専門家に相談する

どうしても自宅でのトリミングが難しい場合は、動物行動学の専門家や訓練士に相談するのも良いでしょう。犬の性格や行動を分析し、個別のアドバイスをもらえる可能性があります。
専門家は、犬の行動や身体言語を読み取る能力に長けています。トリミング中の犬の反応を観察し、どの段階でストレスを感じているかを特定することができます。そして、その犬に合わせた適切なアプローチ方法を提案してくれるでしょう。
また、専門家による行動修正トレーニングを受けることで、トリミングに対する犬の恐怖心や不安感を軽減できる可能性もあります。カウンターコンディショニングやデセンシタイゼーションなどの技術を用いて、トリミングに対する犬の感情を徐々に変化させていくことができます。
こうした方法を組み合わせながら、粘り強く取り組むことが大切です。ただし、無理に押し付けるのは逆効果なので、犬の様子を見ながら慎重に進めましょう。

トリミング中の注意点

トリミング中は、犬の安全と快適さを最優先に考える必要があります。以下の点に注意しましょう。

3-1安全を第一に

ハサミやバリカンなどの道具を使用する際は、細心の注意を払いましょう。特に目や耳の周り、足の間など敏感な部分を扱う際は慎重に行います。また、トリミング台を使用する場合は、落下防止の措置を講じることが重要です。
トリミング道具は常に清潔で鋭利な状態を保つようにしましょう。鈍くなったハサミやバリカンは、毛を引っ張ってしまい犬に不快感を与える可能性があります。また、消毒済みの道具を使用することで、皮膚トラブルのリスクを軽減できます。
トリミング台は、犬の体格に合った適切な大きさのものを選びましょう。また、台の表面は滑りにくい素材のものを使用し、必要に応じて滑り止めマットを敷くなどの工夫をします。さらに、落下防止のためのリードやハーネスを適切に使用することも重要です。

3-2ストレスのサインを見逃さない

トリミング中は常に犬の様子を観察し、過度のストレスサインが見られたら一旦休憩を入れましょう。舌を出す、過度に唾液を出す、震える、目を見開くなどの行動が見られたら要注意です。
その他にも、以下のようなストレスサインに注意が必要です。
・耳を後ろに倒す
・尾を下げる、または体の下に巻き込む
・過度に唸る、または吠える
・落ち着きなく動き回る
・過度に口を舐める
・パンティング(口を開けて浅い呼吸をする)
これらのサインが見られた場合は、一旦トリミングを中断し、犬をリラックスさせる時間を設けましょう。場合によっては、その日のトリミングを中止し、別の日に改めて挑戦することも検討します。

3-3温度に注意しよう

シャンプー時のお湯の温度や、ドライヤーの風温には十分注意しましょう。人間にとって快適な温度でも、犬にとっては熱すぎたり冷たすぎたりする可能性があります。
お湯の温度は、人間の体温よりやや低め(35〜38度程度)が適温とされています。ただし、個体差もあるので、犬の反応を見ながら調整することが大切です。特に、高齢犬や皮膚が敏感な犬の場合は、より慎重に温度管理を行う必要があります。
ドライヤーを使用する際は、風が直接皮膚に当たらないよう注意しましょう。また、同じ箇所に長時間風を当て続けないよう、こまめに場所を変えながら乾かします。ドライヤーの音が怖い犬の場合は、最初は音だけを聞かせる練習から始め、徐々に使用に慣れさせていくとよいでしょう。

3-4コミュニケーションを保つ

トリミング中も、優しい声かけやタッチングを行い、犬とのコミュニケーションを保ちましょう。不安な気持ちを和らげ、リラックスさせる効果があります。
例えば、「よしよし」「がんばってるね」といった言葉かけや、犬の好きな部位(多くの場合、頭や首回り)を優しくなでるなどのスキンシップが効果的です。ただし、過度な声かけや接触は逆に犬を興奮させてしまう可能性もあるので、犬の反応を見ながら適度に行うことが大切です。
また、アイコンタクトを取ることも重要です。犬の目を見ながら穏やかに話しかけることで、信頼関係を強化し、犬の不安を和らげることができます。

3-5無理強いは禁物

どうしてもトリミングを嫌がる場合は、無理に押し付けるのではなく、その日は中止して別の日に改めて挑戦するなど、柔軟な対応が必要です。
無理にトリミングを続けると、犬にとってさらに嫌な経験となり、次回以降のトリミングがより困難になる可能性があります。また、犬が過度にストレスを感じると、攻撃的になったり、逆に極度の恐怖から固まってしまったりする危険性もあります。
トリミングを中断する際は、できるところまでで終わりにし、そこまでがんばったことを褒めましょう。そして次回、より良い状態でトリミングに臨めるよう、準備を整えます。
これらの注意点を守りながら、犬にとって快適なトリミング体験を提供することが大切です。

トリミング後のケア

トリミング後のケアも、次回のトリミングをスムーズに行うためには重要です。以下のようなケアを心がけましょう。

4-1褒める・甘やかす

トリミングを頑張った犬には、たくさん褒めてあげましょう。好きなおやつを与えたり、一緒に遊んだりして、特別な時間を過ごすのもよいでしょう。
犬にとってトリミング後の楽しみとなり、次回のトリミングへのモチベーションにもつながります。特に、トリミング中に不安そうだった犬や、普段からトリミングを嫌がる犬の場合、次回以降より落ち着いてトリミングを受けられる可能性が高まります。
散歩に行ったり、犬の好きなおもちゃで遊んだりするのも良いでしょう。犬にとって楽しい時間を過ごすことで、トリミングの後には楽しいことが待っているというポジティブな連想を作ることができます。

4-2体調の観察

トリミング後は犬の体調を注意深く観察しましょう。皮膚のかゆみや赤みがないか、食欲は普段通りかなどをチェックします。異常が見られた場合は、早めに獣医師に相談しましょう。
特に注意が必要なのは以下の点です。
・皮膚のトラブル
赤み、腫れ、かゆみなどが見られないか確認します。
・耳の状態
耳掃除後に痛がったり、頭を振ったりしていないか観察します。
・爪の状態
爪切り後に出血や痛みがないか確認します。
・全体的な様子
元気がない、食欲がないなどの異常がないか注意深く観察します。
また、トリミング後は体温調節がしづらくなる可能性があるので、寒暖差に注意しましょう。特に、短くカットした場合や寒い季節は、保温に気をつける必要があります。

4-3日常のお手入れの継続

トリミングの間隔を長く保つためにも、日常的なブラッシングや簡単なお手入れは継続して行いましょう。これにより、次回のトリミングもスムーズに行えるようになります。
日常的なお手入れには以下のようなものがあります。
・ブラッシング
毎日短時間でも行うことで、被毛の絡まりを防ぎ、皮膚の状態を良好に保つことができます。
・耳掃除
1回程度、耳の中をチェックし、必要に応じて掃除します。
・歯磨き
口腔ケアは全身の健康にも影響します。できれば毎日、難しければ週2〜3回行いましょう。
・爪切り
2〜3週間に1回程度、爪の長さをチェックし、必要に応じてカットします。
これらの日常ケアを行う際も、トリミング同様にポジティブな経験となるよう心がけましょう。褒めたり、おやつを与えたりしながら、楽しい時間として捉えられるよう工夫します。

トリミングを深く学びたい方は資格取得もおすすめ

犬のトリミングについてより深く学びたい方や、プロとしてのスキルを身につけたい方には、トリミングに関する資格取得がおすすめです。

5-1ペットトリミングアドバイザー®資格検定

ペットトリミングアドバイザー®資格は、家庭の犬や猫のトリミングについて基礎的な知識とスキルを持っていることを証明する資格です。さまざまな犬種・猫種に対応したトリミング技術や、道具の使い方、ペットの扱い方などを学ぶことができます。
この資格の特徴として、以下のような点が挙げられます。
・犬種別のトリミング技術を学べる
・トリミング道具の適切な使用方法を習得できる
・ペットの健康管理や衛生管理についても学べる
・在宅で学習可能な通信教育コースがある
この資格を取得することで、自宅でのトリミングスキルが向上するだけでなく、将来的にはトリマーとしての活動の幅も広がります。また、ペットショップやトリミングサロンでの就職にも有利になる可能性があります。

まとめ

トリミングは犬の健康や美容を保つために必要です。しかし、犬にとっては不安や恐怖を感じる経験になることもあります。愛犬がトリミングで暴れてしまう場合は、その原因を理解し、適切な対策を講じることが大切です。早期からの慣れや段階的なアプローチ、リラックスできる環境づくりなど、さまざまな方法を試しながら、愛犬にとって快適なトリミング体験を提供しましょう。
根気強く取り組むことで、愛犬もトリミングを楽しめるようになるはずです。トリミングを通じて、愛犬との絆をより深めていくことができるでしょう。愛犬の健康と幸せを第一に考え、トリミングを前向きな経験に変えていくことが、飼い主としての大切な役割です。

関連コラム

RELATED COLUMN

関連する資格

RELATED