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犬のサマーカットはよくない?デメリットや魅力・やり方を解説

夏の暑さ対策として、愛犬のサマーカットを検討している飼い主さんも多いのではないでしょうか。快適に過ごせそうなサマーカットですが、実は思わぬデメリットがあることをご存知ですか?愛犬の健康を守るためには、正しい知識が欠かせません。本記事では、犬のサマーカットの魅力やデメリット、適切なやり方について詳しく解説していきます。
犬のサマーカットはよくない?デメリットや魅力・やり方を解説

目次
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サマーカットとは?

サマーカットは、主に夏季に向けて犬の被毛を短くカットするスタイルのことを指します。暑さ対策や手入れの簡易化を目的としておこなわれることが多いですが、実際にはさまざまな影響があります。

1-1サマーカットに適した犬種

サマーカットが適している犬種とそうでない犬種があります。一般的に、被毛の特徴によって判断されることが多いです。
シングルコートの犬種は、毛が自然に抜け落ちることが少なく、伸び続ける特徴があるため、定期的なカットが必要です。プードルやマルチーズ、ヨークシャーテリアなどがこれに該当します。一方、ダブルコートの犬種は、上毛と下毛の二層構造になっており、自然な換毛があるため、必ずしもサマーカットが必要というわけではありません。
しかし、犬種だけでなく、個体差や生活環境によっても適性は変わってきます。愛犬にとって最適なケアを選択するためには、獣医師やトリマーに相談するのがよいでしょう。

1-2サマーカットの一般的な長さ

サマーカットの長さは、犬種や目的によってさまざまです。一般的には以下のような長さが目安となります。
・短め(2-3mm)
皮膚が見える程度の短さで、最も涼しく感じますが、皮膚への影響に注意が必要です。
・中程度(5-8mm)
適度な長さで、涼しさと皮膚保護のバランスが取れています。
・長め(10-13mm)
被毛の保護機能を維持しつつ、若干の涼しさを得られる長さです。
ただし、これはあくまで目安であり、個々の犬に合わせて調整する必要があります。

サマーカットの魅力は?

サマーカットには、愛犬と飼い主さんの両方にとって魅力的な点がいくつかあります。ここでは、その主な魅力について詳しく見ていきましょう。

2-1暑さ対策

サマーカットの最大の魅力は、やはり暑さ対策としての効果でしょう。被毛を短くすることで、地肌まで風が通りやすくなり、体温調節がしやすくなります。特に、暑さに弱い犬種や高齢犬にとっては、夏を快適に過ごすための重要な対策となります。
犬は人間と違って汗腺が少なく、主にパンティング(口を開けて舌を出す行為)で体温調節をおこないます。被毛が長いと、パンティングが効率よくおこなえない可能性があります。サマーカットにより被毛を短くすることで、体熱の放出が促進され、より効果的に体温を下げることができます。
ただし、過度に短くカットすると逆効果になる可能性もあるので注意が必要です。適度な長さを保つことが大切です。皮膚が直接見えるほど短くカットすると、日光や外部刺激から皮膚を守る機能が失われてしまいます。

2-2お手入れが簡単になる

サマーカットのもう一つの大きな魅力は、日々のお手入れが簡単になることです。被毛が短くなることで、ブラッシングやシャンプーの手間が大幅に減ります。特に、長毛種の犬を飼っている方にとっては、大きな負担軽減になるでしょう。
長い被毛は絡まりやすく、毛玉ができやすいため、毎日のブラッシングが欠かせません。しかし、サマーカットにより被毛が短くなれば、ブラッシングの頻度を減らすことができます。また、シャンプー時も短い被毛なら洗いやすく、すすぎも早く済みます。乾かす時間も大幅に短縮できるため、シャンプーの負担が軽減されます。
また、抜け毛の量自体は変わりませんが、短い毛は掃除しやすいため、室内の衛生管理も楽になります。長い被毛の場合、抜け毛が家具や床に絡みつきやすく、掃除が大変です。短い被毛なら、掃除機で簡単に吸い取ることができます。

2-3皮膚疾患の早期発見

被毛が短くなることで、皮膚の状態が確認しやすくなるのも大きなメリットです。皮膚のトラブルや傷、腫れなどを早期に発見できる可能性が高まります。特に、皮膚疾患のリスクが高い犬種や、過去に皮膚トラブルがあった犬にとっては重要です。
犬の皮膚疾患は、初期段階では症状が軽微なことが多く、長い被毛に隠れて気づきにくいことがあります。サマーカットにより皮膚の状態が見やすくなれば、小さな変化にも気づきやすくなります。例えば、軽度の発疹や、ノミ・ダニの寄生、小さな腫れなどを早期に発見できる可能性が高まります。
早期発見は早期治療につながり、愛犬の健康管理に役立ちます。ただし、定期的な皮膚チェックを怠らないことが大切です。サマーカットをしたから安心、ではなく、むしろ積極的に皮膚の状態を観察する習慣をつけましょう。

2-4清潔に保つ

サマーカットは、愛犬の清潔さを保つのにも役立ちます。短い被毛は汚れが付きにくく、付いても落としやすいため、常に清潔な状態を保ちやすくなります。
長い被毛の場合、散歩中に泥や草、小さな枝などが絡みつきやすく、帰宅後の手入れが大変です。また、排泄物が肛門周囲の毛に付着しやすいという問題もあります。サマーカットをすることで、これらの問題が軽減され、愛犬を清潔に保つことができます。
特に、活動的な犬や外で遊ぶことの多い犬にとっては、サマーカットによる清潔さの維持は大きなメリットとなるでしょう。

サマーカットのデメリットを理解しよう

サマーカットには魅力的な点がある一方で、注意すべきデメリットもあります。愛犬の健康を守るためには、これらのデメリットをしっかりと理解しておく必要があります。

3-1皮膚への悪影響

犬の被毛には、紫外線や外部刺激から皮膚を守る重要な役割があります。サマーカットで被毛を短くしすぎると、この保護機能が失われてしまいます。その結果、日焼けや皮膚炎のリスクが高まる可能性があります。
犬の皮膚は人間よりも薄く、紫外線の影響を受けやすいです。特に、薄い皮膚や白い被毛の犬種は紫外線の影響を受けやすいため、注意が必要です。日焼けによる皮膚の炎症や、長期的には皮膚がんのリスクも高まる可能性があります。
また、外部刺激からの保護機能も低下します。例えば、草むらを歩いた時に植物の葉や茎が直接皮膚に当たり、擦り傷や炎症を引き起こす可能性があります。さらに、虫刺されのリスクも高まります。被毛が短いと、蚊やノミ、ダニなどの害虫が皮膚に到達しやすくなるためです。
特に、高齢犬は皮膚が敏感になっていることが多いため、サマーカットの影響を受けやすいかもしれません。高齢犬の場合は、特に慎重にサマーカットを検討する必要があります。

3-2体温調節機能への影響

被毛は、暑さだけでなく寒さから体を守る役割もあります。サマーカットで被毛を短くしすぎると、体温調節機能が低下してしまう可能性が高いです。
夏場は暑いですが、朝晩は冷え込むことがあります。また、エアコンの効いた室内と外の温度差が大きい環境では、急激な温度変化にさらされる可能性があります。被毛が短いと、これらの温度変化に対応しきれず、体調を崩すリスクが高まります。
特に、小型犬や痩せ型の犬は体温が下がりやすいため、注意が必要です。また、高齢犬や持病のある犬も、温度変化の影響を受けやすい傾向があります。
さらに、被毛には日光を反射する機能もあります。特に、明るい色の被毛は日光を効果的に反射し、体温の上昇を防ぎます。サマーカットでこの機能が失われると、かえって体が熱くなってしまう可能性があります。

3-3被毛の質の変化

サマーカットを繰り返すことで、被毛の質が変化してしまうことがあります。柔らかかった毛がごわごわになったり、色が変わったりすることもあります。
これは、被毛の成長サイクルが乱れることが原因です。犬の被毛は通常、成長期、退行期、休止期というサイクルを繰り返しています。サマーカットによってこのサイクルが乱れると、新しく生えてくる毛の質が変わってしまうことがあります。
また、「毛刈り後脱毛症」と呼ばれる症状が現れることもあります。これは、毛が均一に生えてこず、まだらになってしまう現象です。原因は完全には解明されていませんが、バリカンの刃による刺激や、ホルモンバランスの変化などが関係していると考えられています。
特に、ダブルコートの犬種(シベリアン・ハスキーやゴールデン・レトリバーなど)では、サマーカットにより被毛の質が大きく変化する可能性が高いです。これらの犬種では、サマーカットを避け、他の方法で暑さ対策をおこなうことが推奨されています。

3-4外部からの刺激に弱くなる

被毛が短くなることで、虫刺されや擦り傷のリスクが高まります。特に、野外で活動することの多い犬や、他の犬と遊ぶ機会の多い犬は注意が必要です。
長い被毛は、物理的な衝撃を和らげる役割も果たしています。例えば、他の犬と遊んでいる時に受ける小さな引っかき傷や噛み傷から皮膚を守るのです。サマーカットにより被毛が短くなると、これらの衝撃から皮膚を守る機能が低下してしまいます。
また、アレルギー体質の犬の場合、被毛が短くなることでアレルゲンが直接皮膚に触れやすくなり、症状が悪化する可能性があります。花粉やハウスダストなどのアレルゲンは、通常被毛によってある程度遮断されていますが、被毛が短くなることでこの防御機能が弱まるのです。
さらに、寄生虫のリスクも高まることがあります。ノミやダニは通常、長い被毛を移動するのに時間がかかりますが、短い被毛だと素早く皮膚に到達できてしまうでしょう。このため、サマーカットをした犬は、寄生虫対策をより徹底する必要があると言えます。

サマーカットを成功させるコツ

サマーカットのデメリットを理解したうえで、それでもサマーカットを選択する場合は、以下のようなポイントに注意して行いましょう。

4-1適切な長さを守る

サマーカットで最も重要なのは、適切な長さを保つことです。地肌が見えるほど短くしすぎないよう注意しましょう。一般的には、最低でも1cm程度の長さを残すのが良いとされています。
適切な長さは犬種や個体によって異なります。例えば、短毛種の犬(ラブラドール・レトリバーやボクサーなど)の場合、元々の被毛が短いため、サマーカットは必要ないか、あっても非常に軽度なものになります。一方、長毛種の犬(シーズーやヨークシャー・テリアなど)では、より長めのカットが適している場合があります。
ただし、犬種や個体差によって適切な長さは異なります。プロのトリマーに相談して、愛犬に最適な長さを決めることをおすすめします。トリマーは犬の体型、被毛の質、生活環境などを考慮して、最適な長さを提案してくれるでしょう。

4-2部分的なカットを考える

全身を短くカットする必要はありません。暑さ対策として効果的な部分(お腹周りや脇の下など)だけを短くし、他の部分はある程度の長さを保つという方法もあります。
これにより、暑さ対策の効果を得つつ、被毛の保護機能も維持することができます。特に、外で活動することの多い犬や、皮膚が敏感な犬にはこの方法がおすすめです。
部分的なカットの例としては以下のようなものがあります。
・お腹周り
地面に近く、暑さを感じやすい部分なので、短めにカットすると効果的です。
・脇の下
体温が高くなりやすい部分なので、短くすることで体温調節を助けます。
・肛門周り
衛生面を考慮して短くカットします。
・足の裏
肉球の間の毛を短くすることで、滑りにくくなり、歩きやすくなります。
これらの部分をカットすることで、全体的な見た目を大きく変えることなく、快適さを向上させることができます。

4-3プロに任せる

サマーカットは、見た目以上に難しい作業です。愛犬を傷つけてしまったり、毛質を痛めてしまったりする可能性があります。特に初めてサマーカットを行う場合は、プロのトリマーに任せることをおすすめします。
プロのトリマーは、犬種ごとの特性や個体差を理解したうえで、最適なカットを提案してくれます。また、カット中の愛犬のストレスを最小限に抑える技術も持っています。
トリマーを選ぶ際は、以下の点を考慮すると良いでしょう。
・経験
どれくらいの経験があるか、特にあなたの犬種のカット経験があるかを確認しましょう。
・評判
他の飼い主さんの評判や口コミを参考にしましょう。
・設備
清潔で安全な環境でカットが行われるか確認しましょう。
・コミュニケーション
あなたの要望をしっかりと聞いてくれるか、愛犬の状態について適切なアドバイスをくれるかを確認しましょう。

4-4カット後のケアを忘れずに

サマーカット後は、普段以上にケアが重要です。特に以下の点に注意しましょう。
外出時は日陰を選んだり、犬用の日焼け止めを使用したりするなど、皮膚を守る工夫をしましょう。特に、鼻先や耳の先端、お腹など毛が薄い部分は注意が必要です。また、エアコンの効いた室内と外の温度差に注意し、急激な温度変化を避けましょう。必要に応じて、薄手の犬用ウェアを着せることも考えましょう。
こまめに皮膚の状態をチェックし、異常があればすぐに獣医師に相談しましょう。発疹、赤み、腫れなどの症状に注意してください。さらに必要に応じて、犬用の保湿クリームを使用し、皮膚の乾燥を防ぎましょう。特に、エアコンの使用が多い環境では、皮膚が乾燥しやすいので注意が必要です。
被毛が短くなることで虫に刺されやすくなるため、獣医師に相談して適切な虫除け製品を使用しましょう。また短い被毛でもこまめなブラッシングは大切です。新しく生えてくる毛をケアし、健康な被毛の成長を促します。

サマーカット以外の暑さ対策

サマーカットには魅力的な点もありますが、デメリットも無視できません。そこで、サマーカット以外の暑さ対策についても考えてみましょう。

5-1こまめなブラッシング

定期的なブラッシングは、被毛のもつれを防ぎ、通気性を良くする効果があります。特に、ダブルコートの犬種では、抜け毛をしっかりと取り除くことで、暑さ対策になります。
ブラッシングの頻度は犬種や被毛の状態によって異なりますが、一般的には以下のような目安があります。
短毛種:週1-2回
中毛種:週2-3回
長毛種:毎日または1日おき
ブラッシングは単なるグルーミングだけでなく、愛犬とのコミュニケーションの機会にもなります。毎日少しずつ行うことで、愛犬のストレス軽減にもつながります。また、ブラッシング中に皮膚の状態をチェックすることで、早期に健康問題を発見することもできます。

5-2適切な環境管理

室内で過ごす時間が長い犬の場合、環境管理が重要です。エアコンや扇風機を上手に使い、快適な温度と湿度を保ちましょう。ただし、直接風が当たり続けないよう注意が必要です。
理想的な室温は犬種や個体によって異なりますが、一般的には20-25度程度が適温とされています。湿度は40-60%程度が理想的です。ただし、これはあくまで目安であり、愛犬の様子を見ながら調整することが大切です。
また、日光が直接当たる場所には遮光カーテンを使用するなど、室温の上昇を防ぐ工夫も大切です。特に、犬が好んで日向ぼっこをする場所がある場合は注意が必要です。

5-3水分補給と涼しい場所の確保

暑い季節は、いつでも新鮮な水が飲めるよう準備しておきましょう。水は頻繁に取り替え、常に清潔な状態を保つことが大切です。また、氷を浮かべたり、少し冷やした水を用意したりするのも効果的です。
また、タイルや石などの涼しい素材の床に寝転がれる場所を用意するのも効果的です。犬用のクールマットを使用するのも良いでしょう。ただし、体温が急激に下がりすぎないよう、使用時間には注意が必要です。
外出時は、日陰を選んで歩いたり、アスファルトの熱さをチェックしたりするなど、愛犬の体感温度に配慮することが大切です。特に、アスファルトは人間が感じる以上に熱くなっている可能性があるので、必ず確認しましょう。

5-4暑さ対策グッズの活用

最近では、犬用の暑さ対策グッズも多く販売されています。冷却マットや冷却ベスト、クールネックバンドなどを上手に活用することで、サマーカットをしなくても効果的に暑さ対策ができます。
冷却マットは、犬が寝転がることで体温を下げる効果があります。ただし、長時間の使用は避け、定期的に休憩を取らせることが大切です。冷却ベストは、水で濡らして使用するタイプが多く、蒸発熱を利用して体を冷やします。散歩時や外出時に使用すると効果的です。クールネックバンドは、首周りを冷やすことで効率的に体温を下げる効果があります。犬の首には大きな血管があるため、この部分を冷やすことで全身を冷やす効果が期待できます。
ただし、これらのグッズを使用する際も、愛犬の様子をよく観察し、体調の変化がないか注意深く見守ることが大切です。使用中に異常な行動や症状が見られた場合は、すぐに使用を中止し、必要に応じて獣医師に相談しましょう。

まとめ

サマーカットは、暑さ対策やお手入れの簡易化など、魅力的な点が多いケア方法です。しかし、皮膚への悪影響や体温調節機能の低下など、注意すべきデメリットもあります。愛犬にとって本当に必要かどうか、よく考える必要があります。サマーカットを選択する場合は、適切な長さを守り、カット後のケアを怠らないことが大切です。また、サマーカット以外の暑さ対策方法も積極的に取り入れ、愛犬が快適に夏を過ごせるよう工夫しましょう。愛犬の健康と快適さを第一に考え、個々の犬に合った最適なケア方法を選択することが、責任ある飼い主の役割です。迷った時は、獣医師やプロのトリマーに相談し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。愛犬との楽しい夏の思い出作りのためにも、適切な暑さ対策を心がけましょう。

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