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犬の散髪は自宅でも可能?やり方や頻度・注意点を解説

愛犬の毛が伸びてきて、トリミングサロンに行くべきか悩んでいませんか?サロンに行くのは手間がかかり、費用も気になるものです。実は、自宅でも犬の散髪は可能なのです。ただし、正しい知識と技術が必要です。本記事では、自宅での犬の散髪について、やり方や頻度、注意点を詳しく解説していきます。
犬の散髪は自宅でも可能?やり方や頻度・注意点を解説

目次
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自宅での犬の散髪が必要な理由

犬の散髪は単なる見た目の問題ではありません。適切な毛の長さを保つことは、愛犬の健康と快適さにとって重要です。

1-1衛生面での重要性

長すぎる毛は汚れや細菌を溜め込みやすく、皮膚トラブルの原因となることがあります。特に、お尻周りや足の裏の毛は排泄物や地面の汚れが付着しやすいため、定期的なカットが必要です。適切な長さに保つことで、愛犬の皮膚を清潔に保ち、さまざまな皮膚疾患のリスクを軽減できます。
また、長い毛は湿気を含みやすく、特に梅雨時期や雨の多い季節には皮膚炎や真菌症などの原因になることがあります。定期的に毛をカットすることで、皮膚の通気性を良くし、これらの問題を予防できます。

1-2体温調節のサポート

季節に応じて毛の長さを調整することで、犬の体温調節を助けることができます。夏場は短めにカットすることで暑さ対策になり、冬場は適度な長さを保つことで保温効果を維持できます。
犬は汗腺が少なく、主に舌を出して呼吸を速めることで体温調節を行います。しかし、長い毛に覆われていると、この熱放散が効率よく行えません。特に夏場は、適度に毛を短くすることで体温上昇を抑え、熱中症のリスクを軽減できるのです。
一方で、冬場は寒さから体を守るために毛が必要です。ただし、あまりに長すぎると雪や氷が付着しやすくなったり、室内と外の温度差で結露が起こりやすくなったりします。適度な長さに保つことで、 保温効果を維持しながらこれらの問題を防げます。

1-3毛玉防止

長毛種の犬は特に毛玉ができやすく、放っておくと皮膚を引っ張って痛みの原因になることもあります。定期的なブラッシングとカットで毛玉を予防しましょう。
毛玉は見た目の問題だけでなく、犬にとって深刻な問題を引き起こす可能性があるのです。毛玉ができると、その部分の皮膚が空気に触れにくくなり、湿気がこもりやすくなります。これにより皮膚炎や皮膚感染症のリスクが高まることがあります。また、毛玉が大きくなると皮膚を引っ張り、痛みや不快感の原因となってしまいます。
特にプードルやシーズー、ヨークシャー・テリアなどの長毛種は毛玉ができやすいため、注意が必要です。定期的なブラッシングでもつれを防ぎ、適度な長さにカットすることで毛玉の形成を予防できるでしょう。
自宅での散髪は、こうした問題に対処できるメリットがあります。また、愛犬との絆を深める良い機会にもなります。毎日の生活の中で愛犬の状態を観察し、必要に応じてケアを行うことで、愛犬の健康や快適さにつながるのです。

自宅での犬の散髪に必要な準備

自宅で犬の散髪を始める前に、適切な道具と環境を整えることが大切です。正しい準備をすることで、安全で効果的な散髪が可能になります。

2-1必要な道具

・カットハサミ
全体的な長さを調整するのに使用します。犬用のカットハサミは、先端が丸くなっているものが多く、万が一犬に当たっても傷つきにくい設計になっています。また、犬の毛質に合わせた切れ味になっているため、スムーズにカットすることができます。
・梳きバサミ
毛量を減らしたいときに便利です。特に二重被毛の犬種や毛量の多い犬種に効果的です。梳きバサミを使うことで、毛量を減らしながらも自然な仕上がりを実現することができます。
・ミニハサミ
目や耳の周りなど細かい部分のカットに適しています。小さいサイズで扱いやすく、繊細な部分でも安全にカットすることができます。特に顔周りのカットには欠かせない道具です。
・バリカン
広い範囲を均一にカットするのに効果的です。犬用のバリカンは、人間用のものと比べて刃の間隔が狭く、より細かいカットが可能です。また、モーター音が静かなものが多く、音を怖がる犬にも使いやすくなっています。
・ミニバリカン(ペンシルタイプ)
足の裏や耳の周りなど細かい部分の処理に役立ちます。小回りが利くので、デリケートな部分でも安全にカットできます。
これらに加えて、コームやブラシ、爪切り、耳掃除用品なども準備しておくと良いでしょう。コームやブラシは、カット前の毛のもつれを解いたり、カット後の仕上げに使用したりします。爪切りや耳掃除用品は、総合的なグルーミングの一環として用意しておくと便利です。

2-2作業スペースの確保

散髪作業を行う場所は、愛犬がリラックスできる静かな環境を選びましょう。床が滑りにくく、掃除がしやすい場所が理想的です。テーブルや台の上で作業する場合は、犬が落下しないよう十分注意が必要です。
作業台を使用する場合は、愛犬の大きさに合ったものを選びましょう。小型犬であれば一般的な作業台で問題ありませんが、中型犬や大型犬の場合は、専用のトリミングテーブルを用意することをおすすめします。これらのテーブルは高さ調節ができ、滑り止め加工が施されているものが多いです。

自宅での犬の散髪のやり方

準備が整ったら、実際の散髪作業に入ります。基本的な手順を押さえておくことで、スムーズに作業を進めることができます。ここでは、散髪の全体的な流れと、各ステップでの注意点を詳しく説明していきます。

3-1ブラッシングとシャンプー

散髪の前には必ずブラッシングを行い、もつれや毛玉を取り除きます。その後、シャンプーで全身を洗い、よくすすいでドライヤーで乾かします。乾いた清潔な状態で散髪を始めることで、均一なカットが可能になります。
ブラッシングは、単にもつれを解くだけでなく、死毛を取り除き、皮膚の状態を確認する重要な作業です。愛犬の毛質に合ったブラシを使用し、優しく丁寧にブラッシングしていきます。この時、皮膚に赤みや腫れ、傷などがないか注意深く観察しましょう。異常が見つかった場合は、散髪を中止し、獣医師に相談することをおすすめします。
ブラッシングが終わったら、シャンプーに移ります。犬用のシャンプーを使用し、全身をしっかり洗います。人間用のシャンプーは犬の皮膚のpHバランスに合わないため、絶対に使用しないでください。シャンプーの際は、目や耳に水やシャンプーが入らないよう注意が必要です。特に、顔を洗う際は慎重に行いましょう。
シャンプー後は、十分にすすぎを行います。シャンプーが残っていると、皮膚トラブルの原因になる可能性があり注意が必要です。くまなくすすぎ、最後にぬるま湯で全身をすすぐことで、シャンプーが残りにくくなります。
すすぎが終わったら、タオルで水気を軽く拭き取り、ドライヤーで乾かします。ドライヤーの温度は低めに設定し、愛犬の様子を見ながら適度な距離を保って使用しましょう。毛を乾かしながら、再度ブラッシングを行うと、毛並みが整いやすくなります。完全に乾かすことで、その後のカットがスムーズに行えます。

3-2全体的な長さの調整

まずは全体的な長さを調整します。カットハサミを使用し、毛の流れに沿って少しずつカットしていきます。一度に短くしすぎないよう注意しましょう。
全体的な長さの調整は、散髪の中でも最も時間のかかる作業です。焦らず、丁寧に行うことが大切です。カットハサミを使用する際は、刃先を犬の皮膚に向けないよう注意しましょう。また、常に犬の動きに注意を払い、急な動きに備える必要があります。
カットの際は、毛の流れに逆らわないよう、毛の生え方に沿ってカットしていきます。背中から始め、徐々に脇腹、お腹へと移動していきます。均一な長さになるよう、こまめに全体のバランスを確認しながら作業を進めましょう。
長毛種の場合、一度にたくさんの量をカットしようとせず、少しずつ行うことが重要です。最初は長めに残し、徐々に理想の長さに近づけていく方法がおすすめです。これにより、切りすぎてしまうリスクを軽減できます。
短毛種の場合は、主にバリカンを使用することが多いですが、カットハサミで微調整を行うこともあります。バリカンを使用する場合は、アタッチメントを使用して希望の長さに調整します。
全体的な長さの調整が終わったら、一度全身をブラッシングし、カットムラがないか確認します。必要に応じて微調整を行いましょう。

3-3部位別のカット方法

それでは、部位別のカット方法を詳しく見ていきましょう。各部位に適した道具と技術を使うことで、安全で効果的な散髪が可能になります。
・足回りのカット
足回りのカットは特に注意が必要な部位です。肉球の間の毛が長くなると滑りやすくなり、歩行に支障をきたす可能性があります。まず、犬の足を優しく持ち上げ、肉球の周りの毛をミニバリカンで短くカットします。
このとき、肉球を傷つけないよう注意深く作業を進めます。指の間の毛も忘れずにカットしましょう。足の上部の毛は、カットハサミで全体的な長さに合わせてトリミングします。関節部分は動きを妨げないよう、少し長めに残すのがコツです。
・お尻周りのカット
お尻周りは衛生面で重要な部位です。排泄物が付着しやすいため、定期的なカットが欠かせません。尻尾を優しく持ち上げ、肛門周囲の毛をミニハサミで慎重にカットします。肛門に刃を向けないよう十分注意しましょう。周囲の毛は短くし過ぎず、適度な長さを保つことが大切です。
・顔周りのカット
顔周りのカットは最も難しい部分です。犬の表情を損なわないよう、慎重に作業を進める必要があります。目の周りは特に注意が必要です。目に刃が当たらないよう、ミニハサミを使って少しずつカットしていきます。
耳の周りも同様に、ゆっくりと丁寧にカットします。鼻の周りや口周りの毛は、犬の表情を左右する重要なポイントです。短くし過ぎないよう気をつけながら、全体のバランスを見てカットしましょう。
・体全体のカット
体全体のカットは、犬種や季節によってアプローチが変わります。長毛種の場合、まずカットハサミで全体的な長さを調整し、その後バリカンで均一に仕上げます。バリカンを使う際は、皮膚を傷つけないよう注意が必要です。毛の流れに逆らわないよう、一定の方向に動かしていきます。背中から脇腹、お腹へと順番にカットしていきましょう。
短毛種の場合は、主にブラッシングと部分的なトリミングで十分なことが多いです。ただし、夏場など暑さ対策が必要な時期には、獣医師に相談の上でカットを検討しても良いでしょう。

3-4仕上げ・最終確認

全体のカットが終わったら、もう一度全身をブラッシングし、カットムラがないか確認します。必要に応じて微調整を行い、最後に耳掃除や爪切りも忘れずに行いましょう。
仕上げの段階で重要なのは、全体のバランスを見ることです。遠くから見たり、様々な角度から確認したりして、全体的なシルエットが整っているか確認します。特に、左右対称になっているか、不自然に短い部分や長い部分がないかをチェックしましょう。
耳掃除は、専用の耳掃除液と綿棉を使用して行います。耳の中に液体を直接入れるのではなく、綿棉に含ませて優しく拭き取る程度にとどめましょう。深く入れすぎると、鼓膜を傷つける可能性があるので注意が必要です。
爪切りは、透明な爪であれば血管の位置が見えるので、それよりも少し長めのところでカットします。黒い爪の場合は、爪の裏側のやわらかい部分が始まるあたりを目安にカットします。爪切りに慣れていない場合は、少しずつ短くしていく方法がおすすめです。万が一、深く切りすぎて出血した場合は、止血パウダーを使用して止血します。
最後に、全身をもう一度ブラッシングし、カットした毛を取り除きます。この時、皮膚に赤みや腫れがないか、再度チェックしましょう。
散髪後は、愛犬を十分に褒めてあげることを忘れずに。おやつを与えたり、一緒に遊んだりして、散髪の経験を楽しい思い出にすることが大切です。これにより、次回の散髪もスムーズに行えるようになります。

自宅での犬の散髪の頻度

自宅での散髪の頻度は、犬種や毛の伸びる速さ、季節によって異なります。一般的な目安を紹介しますが、個々の犬の状態に応じて調整することが大切です。
長毛種の場合、プードルやシーズーなどは毛が伸びるのが早いため、頻繁なケアが必要です。全体的なカットは4〜6週間に1回程度が目安となります。ただし、足回りやお尻周りなど、特に手入れが必要な部分は2〜3週間ごとにチェックし、必要に応じてカットするのが良いでしょう。長毛種は毛玉ができやすいため、日々のブラッシングも欠かせません。
中毛種の場合、コッカー・スパニエルやシェルティーなどは、6〜8週間に1回程度の全体的なカットで十分なことが多いです。ただし、季節の変わり目や夏場は、より頻繁なケアが必要になる場合があります。特に、換毛期には抜け毛が多くなるため、ブラッシングの頻度を増やすことが大切です。
短毛種の場合、ラブラドール・レトリーバーやビーグルなどは、基本的に散髪の必要性が低いです。ブラッシングによる日常的なケアで十分な場合が多いですが、夏場の暑さ対策として軽いカットを行うこともあります。この場合、獣医師に相談の上で適切な頻度を決めましょう。短毛種でも、定期的なブラッシングは被毛の健康を保つために重要です。
季節によっても散髪の頻度は変わってきます。夏場は暑さ対策として、やや頻繁にカットする必要があるかもしれません。特に、厚い被毛を持つ犬種は、夏場の体温調節が難しいため、こまめなケアが必要です。一方、冬場は体温維持のため、毛を少し長めに保つことも考えられます。ただし、室内で過ごす時間が長い場合は、季節による大きな変更は必要ない場合もあります。

自宅での犬の散髪における注意点

自宅で犬の散髪を行う際は、安全面や衛生面での注意が欠かせません。以下の点に気をつけることで、より安全で効果的な散髪が可能になります。

5-1安全面での注意

道具の扱いに十分注意を払い、ハサミやバリカンの刃を犬に向けないよう常に意識しましょう。使用していないときは安全な場所に置き、特に顔周りや足の間など細かい部分をカットする際は慎重に作業を進めます。また、犬の動きを予測し、常に愛犬の様子を観察して急な動きに備える必要があります。

5-2作業時間と休憩

長時間の作業は愛犬にストレスを与える可能性があります。適度に休憩を入れ、水を与えたり軽くマッサージをしたりして、愛犬をリラックスさせましょう。

5-3衛生面での注意

使用する道具は作業前後に必ず消毒し、特にバリカンの刃は使用後に丁寧に手入れします。作業場所の清掃も忘れずに行い、カットした毛はこまめに掃除しましょう。作業前後の手洗いも重要です。

5-4犬の体調への配慮

散髪中は常に愛犬のストレスサインに注意を払い、必要に応じて休憩を取ります。カットしながら皮膚の状態も確認し、異常がある場合は獣医師に相談しましょう。体調不良時は散髪を延期することが賢明です。

5-5苦手な部位への対応

耳周り、足の裏、お尻周りなど、多くの犬が苦手とする部位があります。これらの部位は特に慎重に作業を進め、愛犬の反応を見ながらケアしましょう。

5-6プロの技術を尊重

複雑なカットスタイル、皮膚トラブル、高齢犬や病気の犬の場合は、プロのトリマーや獣医師に相談することをおすすめします。自宅でできる範囲を把握し、難しい部分はプロに任せることも大切です。

5-7コミュニケーションと健康チェック

散髪は愛犬とのコミュニケーションの良い機会です。優しく声をかけ、褒めたり撫でたりしながら作業を進めましょう。また、定期的な散髪は健康状態をチェックする良い機会にもなります。
自宅での犬の散髪は、正しい知識と技術、そして愛情を持って行うことで、愛犬の健康と快適さを維持する大切なケアとなります。初めは難しく感じるかもしれませんが、経験を重ねるごとに上達していきます。愛犬との大切な時間として、楽しみながら取り組んでいきましょう。

まとめ

自宅での犬の散髪は、適切な知識と技術があれば十分に可能です。愛犬の健康と快適さを維持するだけでなく、飼い主との絆を深める良い機会にもなります。ただし、安全面や衛生面での注意点を守り、愛犬の状態をよくチェックしながら行うことが大切です。最初は簡単な部分から始め、徐々に技術を向上させていくのがおすすめです。難しいと感じる部分や複雑なスタイリングは、プロのトリマーに任せることも検討しましょう。定期的な散髪を通して、愛犬の健康状態をチェックする習慣をつけることで、より充実したペットライフを送ることができます。ぜひ一度自宅での散発にチャレンジしてみてください。

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