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猫のトリミングのやり方とは?必要性や頻度・注意点を解説

愛猫の毛並みが気になっている方も多いのではないでしょうか。自分で毛づくろいをする猫ですが、トリミングが必要なケースもあります。特に長毛種の場合は定期的なケアが欠かせません。本記事では、猫のトリミングについて、必要性から具体的な方法、頻度、注意点まで詳しく解説していきます。
猫のトリミングのやり方とは?必要性や頻度・注意点を解説

目次
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猫のトリミングとは?

トリミングの基礎知識を理解することは、愛猫の健康管理において非常に重要です。毛並みの手入れは、見た目をきれいに保つだけでなく、皮膚の健康維持や病気の早期発見にもつながります。
猫の被毛は、保温や保湿、外敵からの保護など、さまざまな重要な機能を担っています。そのため、適切なケアを行うことで、これらの機能を最大限に発揮させられます。
また、定期的なトリミングは、猫と飼い主とのコミュニケーションの機会としても大切な時間です。トリミング時には、猫の体全体に触れることになるため、普段は気づきにくい体の変化や異常を発見できます。たとえば、皮膚のしこりや傷、痒みによる掻き傷などは、早期発見が治療の成功につながるため、トリミング時のチェックが大切です。

1-1トリミングの範囲

一般的にトリミングというと毛のカットをイメージする方が多いかもしれませんが、実際にはもっと広範囲なケアを指します。具体的には、
・ブラッシング
・ーミング
・シャンプー
・爪切り
・耳掃除
などが含まれます。これらは全て、猫の健康維持に欠かせない重要なケアです。
特に気をつけたいのが、それぞれのケアの目的と効果を理解することです。例えば、ブラッシングは単に抜け毛を取り除くだけでなく、皮膚の血行を促進し、新しい被毛の生育を助ける効果があります。また、耳掃除は耳垢の除去だけでなく、耳ダニなどの寄生虫の早期発見にも役立ちます。
爪切りについても、単に爪を短くするだけでなく、巻き爪や爪の異常を防ぐ効果があります。これらのケアを総合的に行うことで、猫の健康状態を総合的に管理することができます

トリミングが必要な理由

多くの飼い主が「猫は自分で毛づくろいをするから、人の手は必要ないのでは」と考えがちです。しかし、実際にはいくつかの重要な理由があります。

2-1健康管理には欠かせない

定期的なトリミングは、猫の健康管理において重要な役割を果たします。まず、毛玉の予防効果があります。毛玉ができると、皮膚の通気性が悪くなり、湿疹や皮膚炎の原因となることがあります。
また、トリミング時の触診により、体の異常を早期に発見できる可能性があります。皮膚のしこりや傷、腫れなどは、早期発見・早期治療が重要です。
特に気をつけたいのが、猫が毛づくろいの際に飲み込む毛の量です。過剰な毛の摂取は、胃に毛球を形成し、消化器系の問題を引き起こす可能性があります。定期的なブラッシングにより、飲み込む毛の量を減らすことができます。

2-2季節による被毛の変化

猫の被毛は季節によって大きく変化します。特に春と秋の換毛期には、通常以上の手入れが必要となります。この時期には、短時間のブラッシングでも大量の抜け毛が取れ、それだけ猫が飲み込む可能性のある毛の量も多くなるのです。冬場は被毛が密になり、毛玉ができやすくなります。
一方、夏場は被毛が薄くなりますが、エアコンの使用により室内の温度差が生じやすく、これも被毛の状態に影響を与えます。
季節に応じた適切なケアを行うことで、快適な生活環境を維持できます。特に、室内飼いの猫は外気温の変化を直接感じにくいため、より丁寧なケアが必要です。

トリミングの適切な頻度

トリミングの頻度は、猫の種類や生活環境によって大きく異なります。画一的なスケジュールではなく、個々の猫の状態に合わせて調整することが重要です。
毛の長さだけでなく、年齢や健康状態、生活環境なども考慮に入れる必要があります。たとえば、高齢の猫は自分での毛づくろいが難しくなるため、より頻繁なケアが必要になることがあります。また、複数の猫を飼育している場合は、お互いの毛が絡まりやすくなるため、注意が必要です。
室内の環境も重要な要素です。空調の使用頻度や湿度によって、被毛の状態は変化します。特に乾燥する季節は静電気も発生しやすく、毛が絡まりやすくなります。

3-1短毛種と長毛種の違い

短毛種の猫は、週1回程度のブラッシングで基本的には十分です。ただし、換毛期には頻度を増やす必要があります。短毛種でも、毛の質や密度によって必要なケアの頻度は変わってきます。
アメリカンショートヘアなどの一般的な短毛種は、比較的お手入れが簡単です。しかし、ロシアンブルーなどの密な二重被毛を持つ猫種は、見た目以上にケアが必要になることがあります。
長毛種の場合は、毎日のブラッシングが理想的です。特にペルシャやメインクーンなどは、毛が絡まりやすく、一度形成された毛玉は取り除くのが困難になります。また、季節に応じて毛の長さを調整することも検討する必要があります。

3-2季節による調整

春と秋の換毛期には、通常の2倍程度の頻度でブラッシングを行うことをお勧めします。この時期は短時間のブラッシングでも大量の抜け毛が取れるため、こまめなケアが重要です。
冬場は被毛が密になり、特に長毛種では毛玉ができやすくなります。また、暖房の使用で室内が乾燥するため、静電気対策も必要になります。静電気防止スプレーの使用や、加湿器の設置なども検討しましょう。
夏場は、エアコンの使用により室内外の温度差が生じやすくなります。この環境変化に伴い、予期せぬ換毛が起こることもあるため、注意深く観察する必要があります。

自宅でできるトリミング方法

基本的なトリミングは自宅でも実施可能です。ただし、正しい手順と適切な道具の使用が重要になります。

4-1必要な道具と準備

トリミングに必要な道具は、猫専用のものを使用することが基本です。人用や犬用の道具は適していません。以下の道具を用意しましょう。
ブラシは、短毛種用と長毛種用で異なります。短毛種の場合は、柔らかめのブラシで十分ですが、長毛種の場合は、下毛用のコームも必要になります。また、静電気防止加工された製品を選ぶと、より扱いやすくなります。
爪切りは、猫専用の小さめのものを選びます。刃の切れ味が悪くなると、爪が割れたり裂けたりする原因になるので、定期的な交換が必要です。また、万が一の出血に備えて、止血パウダーも用意しておくと安心です。
耳掃除用の道具は、獣医師に相談の上、適切なものを選びましょう。綿棒を使用する場合は、奥まで入れすぎないよう注意が必要です。猫用のイヤークリーナーも市販されています。

4-2ブラッシングの手順

ブラッシングは、猫が最もリラックスしている時間帯を選んで行います。食後すぐや、熟睡中は避けましょう。頭部から始めて、徐々に体全体へと範囲を広げていきます。
毛並みに沿ってブラッシングすることが基本ですが、部分的に逆立てることで、絡まった下毛をほぐすこともあります。ただし、強い力でブラッシングすると皮膚を傷つける可能性があるので、優しく行うことが大切です。
特に気をつけたい部分は、お腹周り、脇の下、首周りです。これらの部分は毛が絡まりやすく、また猫が触られるのを嫌がることも多いため、慎重に行う必要があります。

4-3シャンプーと乾燥

猫のシャンプーは、必要以上に頻繁に行う必要はありません。室内飼いの健康な猫であれば、2〜3ヶ月に1回程度で十分です。ただし、皮膚疾患がある場合は、獣医師の指示に従って頻度を調整します。
シャンプー前の準備として、室温を25度前後に保ち、必要な道具を全て手の届く位置に用意します。お湯の温度は38度前後が適温です。猫用シャンプーは、肌に優しい弱酸性のものを選びましょう。
シャンプー手順の基本は以下の通りです。まず、ぬるま湯で全身を十分に濡らします。このとき、顔は避けます。次に、シャンプーを泡立てて優しく洗います。特に汚れやすい首周りやお尻周りは丁寧に洗いましょう。すすぎは特に重要で、シャンプー成分が残らないよう、十分な時間をかけて行います。
乾燥は、まずタオルで水気を十分に取ります。その後、ドライヤーを使用する場合は、音や温度に注意が必要です。人間用のドライヤーは音が大きすぎるため、ペット用を使用することをお勧めします。温度は低めに設定し、一定の距離を保って使用します。

安全なトリミングのコツ

トリミングを安全に行うためには、猫のストレスを最小限に抑えることが重要です。ストレスは免疫力の低下につながり、体調不良の原因となる可能性があります。また、ストレスによって暴れたり噛みついたりする可能性もあるため、飼い主の安全確保の面からも重要です。
トリミング中は、猫の様子を常に観察します。呼吸が荒くなったり、瞳孔が開いたり、尾が激しく動いたりするなどのサインが見られた場合は、一旦休憩を入れましょう。無理に続けることで、トリミングに対する恐怖心が強くなってしまう可能性があります。

5-1猫が落ち着ける環境作り

トリミングを行う場所は、猫が普段からくつろいでいる場所を選びます。新しい場所や見知らぬ環境では、不安やストレスを感じやすくなります。また、他の動物や小さな子供がいない静かな環境を選ぶことも大切です。
部屋の温度や湿度にも注意が必要です。寒すぎても暑すぎても快適なトリミングはできません。特にシャンプー後は体温が下がりやすいため、暖かい環境を維持することが重要です。

5-2ストレスサインへの対応

猫がストレスを感じていることを示すサインは、いくつかの形で現れます。
・耳を後ろに倒す
・尾を激しく振る
・うなる
・瞳孔が開く
・体が固くなる
などの反応に注意を払う必要があります。
これらのサインが見られた場合は、すぐにトリミングを中断します。無理に続けることで、猫がトリミングに対して強い恐怖心を持ってしまう可能性があります。中断後は、猫が落ち着くまでしばらく様子を見ます。おやつを与えたり、優しく声をかけたりすることで、リラックスを促すことができます。
トリミング再開時は、より短い時間から始めます。また、猫が嫌がる部分を避けて、受け入れやすい部分から始めることで、徐々に慣れさせていくことができます。

プロによるトリミング

自宅でのトリミングが難しい場合や、より専門的なケアが必要な場合は、プロに依頼することを検討します。特に長毛種や高齢猫、持病のある猫などは、プロによるケアがより安全で効果的な場合があります。
プロのトリマーは、猫の扱いに慣れており、ストレスを最小限に抑えながら必要なケアを行うことができます。また、体調の変化にも素早く気づき、適切な対応をとることができます。

6-1トリミングサロンの選び方

トリミングサロンを選ぶ際は、以下の点に注意を払います。まず、猫専門のサロンであるか、または猫の扱いに十分な経験があるスタッフがいるかを確認します。犬専門のサロンでは、猫の特性に合わせたケアが難しい場合があります。
施設の清潔さも重要なポイントです。トリミング室の衛生状態、使用する道具の消毒方法、換気の状態などをチェックします。また、緊急時の対応体制も確認しておくと安心です。
予約時には、愛猫の性格や健康状態、気をつけてほしい点などを詳しく伝えます。また、使用する道具やシャンプーの種類なども確認しておくと良いでしょう。

6-2動物病院でのトリミング

動物病院でトリミングを受けることにも、いくつかのメリットがあります。まず、医療スタッフが常駐しているため、体調の変化や異常に即座に対応可能です。また、持病のある猫や高齢猫の場合、健康状態を把握した上で適切なケアを受けられます。

かかりつけの動物病院であれば、普段の健康状態を理解した上でのケアが可能です。また、トリミング中に気になる点があれば、すぐに獣医師に相談できます。

トリミング時の注意点

安全で効果的なトリミングを行うために、いくつかの重要な注意点があります。これらを意識することで、トラブルを防ぎ、より良いケアを実現することができます。
特に初めてトリミングを行う場合は、焦らず段階的に進めることが大切です。最初は短時間の簡単なケアから始め、猫の反応を見ながら徐々にケアの範囲を広げていきます。
また、季節や気候による体調の変化にも注意が必要です。暑い時期は熱中症のリスクがあり、寒い時期は体が冷えすぎないよう注意が必要です。

7-1適切な道具の使用

トリミングに使用する道具は、必ず猫専用のものを使用します。人間用や犬用の道具は、サイズや形状が異なり、猫にストレスを与える可能性があります。
ブラシやコームは、使用前に必ず消毒します。複数の猫を飼っている場合は、猫ごとに専用の道具を用意することをお勧めします。また、道具の劣化や破損にも注意を払い、定期的に点検・交換を行います。
爪切りは特に慎重な扱いが必要です。爪の中の血管がある部分(ピンク色の部分)を傷つけないよう、十分な明るさのもとで行います。不安がある場合は、最初は獣医師に手順を教えてもらうのが良いでしょう。

7-2季節や体調への配慮

季節によって必要なケアは変化します。夏場は暑さ対策として毛を短くしたくなりますが、急激な変化は避け、徐々に調整していきます。また、日焼けや虫刺されのリスクも考慮する必要があります。
冬場は保温のため、必要以上に毛を短くしないよう注意します。室内飼いの場合でも、暖房による乾燥対策として、適度な毛の長さを維持することが大切です。
体調不良時や妊娠中、高齢期など、特別なケアが必要な時期もあります。このような場合は、必ず獣医師に相談し、適切なケア方法を確認します。

トリミング時のトラブル対処法

トリミング中に予期せぬ事態が発生することもあります。適切な対応方法を知っておくことで、スムーズなケアが可能になります。また、トラブルを未然に防ぐための準備も重要です。

8-1暴れる猫への対応方法

突然暴れ出してしまう猫には、無理に押さえつけることは避けましょう。一旦トリミングを中断し、猫を落ち着かせることが先決です。タオルで優しく包み込むことで、安心感を与えることができます。また、おやつを用意しておき、良い思い出と結びつけることも効果的です。
暴れる原因には、過去のトラウマや体調不良が隠れていることもあります。特に保護猫の場合は、過去の経験から強い不安を感じている可能性があります。このような場合は、獣医師に相談し、適切な対応方法を検討しましょう。

8-2皮膚トラブルが見つかった場合

トリミング中に皮膚の異常を発見することがあります。赤みや腫れ、かさぶた、脱毛などが見られた場合は、それ以上のトリミングは中止し、早めに獣医師の診察を受けましょう。
特に気をつけたいのが、アレルギー反応です。シャンプーや柔軟仕上げ剤などに含まれる成分が原因となることもあります。新しい製品を使用する際は、まず小さい範囲で様子を見ることをお勧めします。

年間のトリミング計画を立てよう

効果的なトリミングケアには、計画的なアプローチが重要です。季節の変化や猫の生活リズムに合わせて、適切なケアスケジュールを組み立てましょう。

9-1月別のケアポイント

春は換毛期に入る重要な時期です。3月頃から始まる抜け毛の増加に備え、2月後半からブラッシングの頻度を増やします。特に長毛種は毎日のケアが必要になることもあります。
夏場は暑さ対策が中心となります。5月頃から徐々に毛を整え、7〜8月の最も暑い時期に備えます。ただし、急激な毛の長さの変更は避け、猫の体調を見ながら調整します。
秋は再び換毛期を迎えます。9月後半から増えてくる抜け毛に対応し、冬毛への生え変わりをサポートします。この時期は特に毛玉ができやすいため、丁寧なブラッシングが重要です。
冬は保温と乾燥対策がポイントとなります。12〜2月は特に室内が乾燥しやすいため、静電気対策を含めたケアが必要です。加湿器の使用と合わせて、適切な毛の長さを維持します。

9-2記録をつける重要性

トリミングの記録をつけることで、より効果的なケアが可能になります。日付、実施したケアの内容、気になった点などを記録しておくと、体調の変化や季節による違いが分かりやすくなります。また、獣医師に相談する際にも役立ちます。
記録には写真を活用するのも効果的です。定期的に同じアングルで撮影することで、毛並みの変化や体型の変化を客観的に確認できます。気になる部分を見つけた場合は、アップで撮影しておくことをお勧めします。
これらの情報を基に、次年度のケアスケジュールを立てることで、より効率的なトリミング計画を立てることができます。猫の年齢や生活環境の変化に応じて、適宜調整を加えていくことが大切です。

まとめ

猫のトリミングは、健康管理と快適な生活のためにとても重要です。ただし、猫の個性や生活環境によって、必要なケアの内容や頻度は大きく異なります。
自宅でケアを行う場合は、猫の性格や体調に合わせて、無理のない範囲で始めることが大切です。また、専門家に依頼する場合も、事前によく相談し、愛猫に最適な方法を選びましょう。
定期的なトリミングを通じて、愛猫との信頼関係を深められます。また、早期の異常発見にもつながり、より健康的な生活を送るための機会となります。本記事を参考に正しいトリミング方法を学び、愛猫とより良い関係を築いていきましょう。

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