近年、仕事のストレスや人間関係で心を病み、休職や離職を余儀なくされる方はあとを絶ちません。
ビジネスマネジメント資格は、プロジェクトを円滑に進める経営力や運営力だけでなく、メンタルケアなどにより心理的側面から働き手に寄り添い、仕事の効率化をはかる能力を有する者に与えられる資格として注目されています。
本記事では、ビジネスマネジメントの知識を得、実際の仕事に活かせるマネジメントスキルを身につけられる5つの資格・検定試験をご紹介します。
ビジネスマネジメント資格とは、「経営管理」や「組織運営」の面で組織を効率的に動かす能力を有する者に与えられる資格です。
組織が果たすべきミッションを把握し達成すること、組織で働く人を活かし自己実現させること、社会に貢献することなどが、ビジネスマネジメントに求められます。
また、より良い経営管理によりスムーズな運営を行える力に加え、職場の人間関係が改善するようアドバイスをしたり、社員のメンタルケアを行ったりする能力も、ビジネスマネジメントにおいて重要です。
個人がストレスを抱え心の病を患うことが、会社全体の仕事効率の低下につながる可能性もあります。
ビジネスマネジメントによって心理的な側面から社員を支えることが、業務のスムーズな遂行につながるのです。
ビジネスマネジメントに関するおすすめの資格・検定試験は、以下の5つです。
・ビジネスマネージメント
・ストレスカウンセラー
・PMP
・ビジネスマネジャー検定試験
・メンタルヘルス・マネジメント検定試験
それぞれ習得できる知識が異なるため、ご自分に必要な要素と比較しながらご覧ください。
「ビジネスマネージメント」は、社会人として良好な人間関係を保つためのメンタル心理トレーニング法について、十分に理解していることを認定する資格です。
仕事における心のケアに着目し、円滑な人間関係を築くことで職場環境を整えることに貢献する力が必要とされます。
取得後は、アドバイザーとして活動することも可能です。
【ビジネスマネージメント認定試験の内容】
・心理トレーニングについて
・自立するための心理トレーニング法
・「アイスブレイク研修」について
・「カリスマ型」「管理型」「協調型」について
・「NLP」について
・認知科学を活用した社員教育 など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 1万円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申込 |
受験方法 | 在宅(設定された5日間の試験期間で解答し、返信用封筒で解答用紙を送付) |
合格基準 | 70%以上の評価 |
ストレスカウンセラーは、感情と上手く付き合う方法やアンガーマネジメントなどの心理トレーニングを活用したストレス対処法、ストレスやその原因に対処するストレスマネジメント能力に関する知識を十分に理解した者に与えられる資格です。
マネジメント力と深く関わる学習内容で、以前は「ストレスケアマネージメント」の名称が使用されていました。
ストレスケアとは、ストレスに上手く向き合い、正しく解消するためのメンタルケアや治療を指します。
ストレスにより心身のバランスを崩す方が多い今、適切なメンタルヘルスケアが行えるストレスケア医療センターや、青少年や高齢者の心に寄り添うケアストレスカウンセラーの需要は年々高まっています。
【ストレスカウンセラー認定試験の内容】
・心理トレーニングの方法
・主体性を発揮させ、自立させるトレーニング方法
・常に改善するために効果的な心理トレーニング方法
・能力を発揮するエンパワーメントを作り上げる方法
・パフォーマンスを高めるために効果的なメンタルトレーニング
・瞑想を取り入れた心理トレーニング など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 1万円(税込) |
受験申請 | インターネットからの申込 |
受験方法 | 在宅(設定された5日間の試験期間で解答し、返信用封筒で解答用紙を送付) |
合格基準 | 70%以上の評価 |
PMPは、「Project Management Professional(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」の略で、アメリカのPMI(Project Management Institute)が認定する国際資格です。
受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験・教育・知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されるもので、法的な資格・免許ではありません。
プロジェクトマネジメントとは、期日までにプロジェクトの目標を達成できるよう管理する手法のことを指します。
課題管理やスケージュール管理なども、プロジェクトマネジメントに含まれます。
PMPはアメリカの資格ですが、日本国内で日本語での受験が可能です。
世界で認知されているため、この資格の取得は国や業種問わず大きなアドバンテージとなるでしょう。
【PMP試験の内容】
・コンフリクトの管理
・共通理解の構築
・コミュニケーションの管理
・リスクの評価・管理
・コンプライアンスの計画・管理 など
受験資格 | ・中等教育卒業(高校卒業・準学士号・海外の同等資格)+5年/60か月以上にわたる一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験 ・4年制大学卒業(学士号・海外の同等資格)+3年/36か月以上にわたる一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験 ・GAC認定プログラム(PMIによる)学士号取得または大学院卒業(学士号・修士号・海外の同等資格)+2年/24か月以上にわたる一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験 ※さらに公式のプロジェクトマネジメントの研修を35時間受講した証明が必要 |
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受験料 | 405USD(PMI会員)555USD(PMI非会員) ※日本円での支払い不可 |
受験申請 | インターネットから申し込み |
受験方法 | 会場受験 |
ビジネスマネジャー検定試験は、マネジャー(管理職)として活躍が期待されるビジネスパーソンに対し、チームとして成果をあげるという責務を果すのに必要な土台づくりや、基礎知識を習得する機会の提供を目的として行われています。
検定試験に向けた学習をとおして、あらゆるマネジャーが共通して身につけておくべき重要な知識を効率的に学べます。
マネジャーとしてステップアップを図りたい方や、管理職として業務を効率化したい方、キャリアアップを目指している方におすすめの資格です。
主催の東京商工会議所では、公式通信講座や、管理職に必要な基礎知識を網羅した公式テキスト・問題集の販売も行われています。
【ビジネスマネジャー検定試験の内容】
・マネジャーの役割と心得
・人と組織のマネジメント
・業務のマネジメント
・リスクのマネジメント など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | 7,700円(税込) |
受験申請 | インターネットから申し込み |
受験方法 | IBT(Internet Based Testing)・CBT(Computer Based Testing)方式(インターネットでの受験) |
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、働く人たちの心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指し、職場内での役割に応じて、必要なメンタルヘルスケアに関する知識や対処方法の習得を目的として開催されています。
メンタルヘルス・マネジメント検定試験は、職位・職種別(対象別)に以下の3コースに分かれています。
コース | 対象 | 目的 |
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Ⅰ種(マスターコース) | 人事労務管理スタッフ/経営幹部対象 | 社内のメンタルヘルス対策の推進 |
Ⅱ種(ラインケアコース) | 管理職対象 | 部門内、上司としての部下のメンタルヘルス対策の推進 |
Ⅲ種(セルフケアコース) | 一般社員対象 | 組織における従業員自らのメンタルヘルス対策の推進 |
心の不調による休職・退職者が増える中、一層重要となっている心の健康管理への取り組みに着目した内容となっています。
大阪商工会議所では、公式テキストの販売を行っており、会場・オンラインでの受験対策講座の受講も可能です。
【メンタルヘルス・マネジメント検定試験の内容】
※コースにより内容は異なりますが、大まかには以下の通りです。
・メンタルヘルスケアの意義
・ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識
・疾病の未然防止と健康増進
・組織全体によるケアの促進
・人事労務管理の観点の重視 など
受験資格 | 特になし |
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受験料 | Ⅰ種:1万1,550円(税込) Ⅱ種:7,480円(税込) Ⅲ種:5,280円(税込) |
受験申請 | メールフォームから申し込み |
受験方法 | 会場受験 |
ビジネスマネジメント資格やスキル習得のための学習法として、以下の4つが挙げられます。
・独学
・実務を通じて
・セミナーや研修で
・通信講座の受講
各方法の特徴やメリットについて解説します。
マネジメントやビジネスマネジメントに関する書籍は多数出版されているため、独学で学ぶことは可能です。
PMPやビジネスマネジャー検定、メンタルヘルス・マネジメント検定試験など、公式テキストに沿った内容が試験で出題される資格・検定に関しては、公式サイトでテキストや問題集の販売も行われています。
ただ初めて学習する方にとって、テキストの内容を理解したり、重要度別に整理しながら効率よく学んだりすることは容易ではありません。
独学での勉強は、マネジメント経験のある方、研修やセミナーの受講経験がある方が、知識を確実なものとするための方法としておすすめです。
ビジネスマネジメントのスキルは、実務経験を積むことでより深い理解とともに身につけられます。
勉強を重ね資格取得や検定試験に合格しても、実際に仕事に活かせなければ意味を成しません。
得た知識を仕事で応用しようとした際に上手くいかなかった点の改善を試みることで、新たな学びを得られる場合もあります。
資格・検定試験のための勉強を行うことはもちろん、実務でも積極的に知識を活かし、身につけたスキルをより強固なものにしていきましょう。
ビジネスマネジメントに関するセミナーは全国各地で行われており、オンラインセミナーも複数開催されています。
経験豊富な講師による講座を受講することは、資格取得やスキルの獲得に大いに役立つでしょう。
また、ビジネスマネジメントに関する内容を積極的に研修に取り入れている企業もあります。
自社でそのような機会が得られる場合は、進んで参加しましょう。
初めてビジネスマネジメントについて学ぶ方には、通信講座の受講がおすすめです。
ご紹介した5つの資格・検定のうちPMP以外の資格は、通信講座を利用して資格・検定試験のための学習を行えます。
ビジネスマネジメント資格の通信講座として特におすすめなのが、「ビジネスマネージメント」「ストレスカウンセラー」の人気2資格を同時に取得できる、「SARAスクール」と「諒設計アーキテクトラーニング」です。
「SARAスクール」の「ビジネスマネジメント/プラチナコース」、「諒設計アーキテクトラーニング」の「ビジネスマネジメントW資格取得講座/スペシャル講座」では、最短2か月で両方の資格について学び、2つの資格を同時に取得できます。
講座修了と課題提出のみで資格が授与され、認定試験を受ける必要もありません。
1日30分の勉強時間で学習を進められるため、仕事をしながら取得を目指す際も取り組みやすいでしょう。
ビジネスマネジメント資格の取得によりマネジメント力を身につけた方には、知識をより一層活かす機会を広げるため、以下のようなビジネス関連資格をあわせて取得するのもおすすめです。
・社会保険労務士
・中小企業診断士
・日商簿記2級
複数の資格やスキルを組み合わせながら、ビジネスマネジメント資格を最大限活かした働き方を目指しましょう。
社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づいた国家資格です。
人材に関する専門家として、「労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資すること」を目的とし業務を行います。
業務内容は、企業の採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題や年金相談への対応など多岐に渡り、社会保険制度や労働関連法に関する幅広い知識が求められます。
中小企業診断士は、経営分野唯一の国家資格です。
中小企業の悩みや課題を調査し、アドバイスや提案を行うコンサルティング業務を担います。
企業の経営に関わる知識を横断的に身につけられるため、キャリアアップや転職、独立を目指す方から注目されています。
日商簿記は、日本商工会議所および各地商工会議所が実施する、簿記に関する技能検定です。
企業の経済活動における収支や所有する資産を帳簿に記録・計算し、資金の流れと財政状況を明らかにする能力を持つ者に与えられます。
日商簿記2級は、某求人サイトの調査において「企業が応募者に求める資格ランキングトップ10」で第1位、「今後取得したい資格ランキング」第6位にランクインしている、需要・人気ともに高い資格です。
ビジネスマネジメント資格は、今後需要がさらに増していくことが予想される資格です。
取得することで仕事が円滑に進むだけでなく、業績向上に貢献しキャリアアップを目指せる可能性もあります。
スクールに通ったり独学で勉強したりするのが難しい方には、「SARAスクール」や「諒設計アーキテクトラーニング」などの通信講座の受講がおすすめです。
ポイントをおさえた講義を受けながら、効率的に学習しビジネスマネジメント資格の取得を目指しましょう。